痛い1敗だった。だが、1歩後退とまではいかずに済んだ。

 綱とりに挑む大関稀勢の里(30=田子ノ浦)が今場所初めて、土俵に転がった。突き、押しで西前頭筆頭の栃煌山(29=春日野)を攻め立てたが、最後に右が入ったところを回り込まれ、体を崩されて突き落とされた。序盤の最後に喫した初黒星。館内には大きなため息が漏れた。

 だが、続く白鵬(31=宮城野)も敗れたため、初優勝へ最大の壁となるであろう横綱とは「差」がつかなかった。取組直後は口を真一文字に結んでいた大関だが「切り替えて、また明日、頑張ります。集中してまた明日からです」と短い言葉を口にして、気を取り直した。