ヒーローの凱旋(がいせん)に、町が、市が、総出で沸いた。

3月の大相撲春場所で110年ぶりの新入幕優勝という快挙を成し遂げた尊富士(25=伊勢ケ浜)が1日、故郷の青森県五所川原市で凱旋(がいせん)パレードを行った。1度目は尊富士が生まれた金木町で、2度目は五所川原市中心部で行われ、金木町に2万人、五所川原市中心部に3万5000人の計5万5000人が訪れるなど、大盛況。同市全体の人口の5万140人(24年4月末)を超える大勢のファンから「おめでとう」や「ありがとう」と感謝を伝えられた。

金木町でパレードを見た秋元一行さん(82)は「金木の、最高の人だ」、前田正廣さん(72)は「金木のヒーロー…、金木だけでねえな、(青森)全部のヒーローだな」と誇らしげに語り、市役所で市民栄誉賞を授与された尊富士の姿を見た寺田律くん(3)は「かっこいいところが好き」ともらったサインを大事そうに抱えていた。女子高生たちは「尊富士最高ー!」とはしゃぐなど、老若男女問わず、愛されていた。

同日夜に開かれた後援会主催の優勝祝賀会では500人が参加。壇上に立った尊富士は「前に立つのは10回目くらい。もう緊張しなくなりました」と笑いを誘い、応援してくれた方々とのひとときを楽しんだ。「応援されることに対して、1つ1つ、自分の相撲人生の中で恩返ししていくことが僕の将来の夢」。まだまだ始まったばかりの相撲人生、町に市に、1つでも多く恩返ししていく。【濱本神威】