現地時間3月2日にいよいよアカデミー賞授賞式が行われます。

昨年は「オッペンハイマー」が作品賞を含む7冠を達成する旋風を巻き起こしましたが、今年は大本命不在の混戦模様となっています。最多13ノミネートを果たしたのは「エミリア・ぺレス」ですが、本番を前に主演女優の過去のSNS投稿を巡るスキャンダルで失速。前哨戦では、23日に発表された全米映画俳優組合(SAG)賞で「教皇選挙」が映画部門の最高賞キャスト賞に輝き、クリティクス・チョイス・アワード(放送映画批評家協会賞)映画部門では「ANORA アノーラ」が作品賞を受賞するなどリードを広げています。

混戦するアカデミー賞を前に現地から主要部門の予想をお届けします。

作品賞

◎「ANORA アノーラ」

〇「教皇選挙」

△「名もなき者 A COMPLETE UNKNOWN」

「ANORA アノーラ」主演のマイキー・マディソン(2025年2月撮影)(ロイター)
「ANORA アノーラ」主演のマイキー・マディソン(2025年2月撮影)(ロイター)

昨年のカンヌ国際映画祭で最高賞にあたるパルムドールを獲得して以降、賞レースをリードしてきたのが「ANORA アノーラ」。批評家からの評価が高く、前哨戦では全米製作者組合(PGA)賞と全米監督組合(DGA)賞をダブル受賞。さらに放送映画批評家協会賞にも輝き、勢いに乗っています。対抗馬はSAG賞と英国アカデミー賞(BAFTA)で作品賞を受賞した「教皇選挙」と「名もなき者 A COMPLETE UNKNOWN」になると予想。

監督賞

◎ショーン・ベイカー監督 「ANORA アノーラ」

〇ブラディ・コーベット監督 「ブルータリスト」

「ANORA アノーラ」のショーン・ベイカー監督(右)と主演のマイキー・マディソン(2025年2月撮影)(ロイター)
「ANORA アノーラ」のショーン・ベイカー監督(右)と主演のマイキー・マディソン(2025年2月撮影)(ロイター)

「エミリア・ぺレス」の最多受賞が確実視されていた中、トランスジェンダー女優として史上初となる主演女優賞ノミネートの快挙を成し遂げたカルラ・ソフィア・ガスコンの過去の差別的投稿を巡る騒動の余波が、監督賞部門にも影響を及ぼしています。有力候補だったジャック・オーディアール監督に代わって前哨戦で健闘した「ANORA アノーラ」のジョーン・ベイカー監督の受賞が期待されています。対抗馬はBAFTA、ゴールデン・グローブ賞、サテライト賞を受賞した「ブルータリスト」のブラディ・コーベット監督になると予想。

主演男優賞

◎エイドリアン・ブロディ 「ブルータリスト」

〇ティモシー・シャラメ 「名もなき者 A COMPLETE UNKNOWN」

△レイフ・ファインズ 「教皇選挙」

「ブルータリスト」主演のエイドリアン・ブロディ(2025年2月撮影)(ロイター)
「ブルータリスト」主演のエイドリアン・ブロディ(2025年2月撮影)(ロイター)

最有力候補は、2003年に史上最年少で「戦場のピアニスト」で主演男優賞に輝いたエイドリアン・ブロディ。第2次世界大戦のホロコーストから逃れて米国に渡ったユダヤ系ハンガリー人の建築家ラースロー・トートを演じて高い評価を受けています。対抗馬は、「名もなき者 A COMPLETE UNKNOWN」で若きボブ・ディランを演じてSAG賞を受賞したティモシー・シャラメ。三度目の正直で初オスカーを受賞し、ブロディの持つ史上最年少記録を更新するのか注目です。

主演女優賞

◎デミ・ムーア 「サブスタンス」

〇マイキー・マディソン 「ANORA アノーラ」

「サブスタンス」主演のデミ・ムーア(2025年2月撮影)(ロイター)
「サブスタンス」主演のデミ・ムーア(2025年2月撮影)(ロイター)

賞レースから脱落したガスコンに代わり、受賞が期待されるのはこれまで賞レースとは無縁だったデミ・ムーア。若さと美への執着から危険な美容整形に手を出す元トップ女優の狂気を怪演したムーアは、ゴールデン・グローブ賞を初受賞したのを皮切りに放送映画批評家協会賞、SAG賞など多くの賞を受賞。30年前にあるプロデューサーから「ポップコーン女優」だと言われ、自分は賞とは無縁だと思っていたというゴールデン・グローブ賞でのスピーチが印象的でしたが、このままオスカーも手にするのか注目です。ロサンゼルス映画批評家協会賞やBAFTAを受賞した「ANORA アノーラ」のマイキー・マディソンとの一騎打ちになると予想。

助演男優賞

◎キーラン・カルキン 「リアル・ペイン~心の旅」

〇ジェレミー・ストロング 「アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方」

「ホーム・アローン」の子役として大ブレークしたマコーレ-・カルキンの弟キーラン・カルキンは、ニューヨークやロサンゼルス映画批評家協会賞、放送映画批評家協会賞、BAFTAなど前哨戦で大健闘。対抗馬となるのは、若き日のトランプ米大統領を描いた「アプレンティス」でトランプ氏に帝王学をたたきこんだらつ腕弁護士ロイ・コーン氏を演じたジェレミー・ストロングになると予想。

助演女優賞

◎ゾーイ・サルダナ 「エミリア・ペレス」

〇イザベラ・ロッセリーニ 「教皇選挙」

△アリアナ・グランデ 「ウィキッド ふたりの魔女」

「エミリア・ペレス」のゾーイ・サルダナ(2025年2月撮影)(ロイター)
「エミリア・ペレス」のゾーイ・サルダナ(2025年2月撮影)(ロイター)

今年の助演女優賞をリードしてきたのは、「エミリア・ぺレス」で主人公のマフィアに雇われる弁護士を演じたゾーイ・サルダナ。放送映画批評家協会賞、BAFTA、そしてSAG賞も受賞しており、その勢いにのってオスカーも手にすると予想。大女優イングリッド・バーグマンの娘でベテランのイザベラ・ロッセリーニとコミカルな演技で歌手としてだけでなく女優としても演技力が評価されたアリアナ・グランデの追撃にも注目です。

【千歳香奈子】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「ハリウッド直送便」)