- 生配信でMCを務めた五戸美樹。ドリンクは糖質も塩分もゼロのお水です(2018年6月、原宿・Abemaスタジオ)
塩分を摂り過ぎると、体の塩分濃度を保つために、体内に水分を蓄えてしまい、体重が増えます。基本的には、塩分摂取が落ち着くと、尿の量が少し増えて、体重は元に戻りますが、血圧を過剰に上昇させて良いものではありません。糖質とともに、塩分も摂り過ぎはよくない、そしてそれは「ロカボ」(注1)を続ける上でも大事なことになります。今回は、ダイエット編第22回「ダイエットと塩分の関係」です。
- 山田悟先生に取材させていただいています
■糖も塩分も過剰摂取はいけない■
ロカボの第1人者で、北里研究所病院糖尿病センター長の山田悟先生は、ロカボを続けるためにも、「おかずの塩分濃度を下げること」が重要だとおっしゃっています。(塩分と体重の関係について詳しくは、2017年9月更新のダイエット編第19回「ダイエットと塩分の関係」をご参照ください)
例えば、塩辛と漬物があったら、白米が欲しくなりますよね。塩分が入ってきたら、糖分も引っ張り込まれるわけです。
山田先生の患者さんで、ロカボをはじめて数日後、「先生、やっぱり主食食べないと辛いよ~」と言う方がいらっしゃるそうですが、そうおっしゃる方のほとんどは、おかずの塩分が過剰な場合が多いそうです。
■簡単!塩分摂取減らす小ワザ■
塩分摂取を減らす方法として、まず、おかずを味付けする時に、塩・味噌・醤油を使わず、食べる直前に、小皿にとった塩や醤油を食べ物のはじに乗せて、その着いた部分を舌にのせて食べる、という方法があります。
糖質と同じく、塩分摂取もゼロにしてはいけませんが、普通に食事をしていれば、ゼロにすることはほぼ不可能です。大量に汗をかく方(夏場に外で作業をする方や、マラソン選手など)を除いては、「塩分摂取は、減らせれば減らせるほどいい」と考えて問題ないそうです。特に、日本人の感覚としては。
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■お味噌汁も漬物も美味しいけれど■
もともと日本人は昭和30年代、1日18gぐらいの塩分を摂取していたと言われています。一方、近年の日本人の塩分摂取は、男性で12g、女性で10g程度です。女性でいえば8gも減っています。
しかし、残念ながら、「減塩」というと通常は、1日の塩分摂取を6g以下にしなければならないのです。
昭和30年代生まれで、塩分を1日18g食べるような環境で育ってきた方は、ほぼ全員の方が今の食事に関して「自分は塩分を控えている」とおっしゃるそうです。例えば、塩分摂取18gだったのを、12gにしていたら、そう思われる気持ちはよくわかります。ただ、それをさらに半分にするのが、減塩なんです。
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■欧米の「減塩」はさらに半分■
「減塩」の定義、海外の状況を見てみますと、欧米では1日3g以下となっているところが多くあります。これは、私たち日本人にはちょっと厳しい…。お味噌汁1杯で、約2gが塩分です(種類によりますが少なくとも1gは塩分)。漬物があったらそれでまたプラス1gですので、欧米の基準なら1食で1日分超えてしまいます。日本のビジネスパーソンは、まず1日6gを目指しましょう。
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■無塩バターが美味しくない方へ■
最後に、人間の塩に対する味覚についてです。普段摂取する塩分が少ないと、塩味に対する味覚が鋭敏になります。塩って、久しぶりに食べるとすごくしょっぱく感じますよね。
ひとつのバロメーターは「無塩バター」です。無塩バターで「美味しい」と感じられる方は減塩できていると言えます。一方、無塩バターは「バターの味がしない」と思う方は、塩分摂取が比較的多いはず。あなたはどちらでしょうか? 私は、後者でした…。山田先生に取材してから、無塩バターに変えました。
【五戸美樹】(日刊スポーツ・コム芸能コラム「第62回・元ニッポン放送アナウンサー五戸美樹のごのへのごろく」)
※注1「ロカボ」は、“ローカーボハイドレート”の略で、“ロー(低い)+カーボハイドレート(糖質)”のこと。1食の糖質摂取を20g~40g、1日70g~130gにする、ゆるやかな糖質制限。目安はコンビニのおにぎり1個で糖質40g。
【参考図書】山田悟先生の著書『ロカボで食べるとやせていく』(幻冬舎)。山田先生監修『世にも美味しい「ゆるやかな糖質制限ダイエット」』(世界文化社)。山田先生の新著書『90日で健康的にやせる! ゆるやかな糖質制限ダイアリー』(家の光協会)、『カロリー制限の大罪』(幻冬舎新書)。
◆山田悟(やまだ・さとる)1970年、東京生まれ。1994年慶應義塾大学医学部卒業。2002年から北里大学北里研究所病院勤務。同病院医療連携室室長、糖尿病センター長、医学博士。一般社団法人「食・楽・健康協会」を設立、代表理事を務める。日本における糖質制限の第一人者。「ロカボ」の名付け親。「糖質制限の真実」(幻冬舎)をはじめたくさんの書籍を出版、メディアにも数多く登場。