仲間由紀恵(35)主演の舞台「放浪記」が初日を迎えた。国民栄誉賞を受賞した森光子さん(享年92)が1961年の初演から亡くなる3年前の2009年までの48年間で2017回も演じた国民的舞台の継承とあって、注目度も高かった。特に自作の小説が雑誌に掲載される喜びの表現として森さんの見せ場だった「でんぐり返し」に代わって、「側転」を披露すると客席から「おーっ」と感嘆の声が上がり、早くも仲間カラーの「放浪記」として好スタートを切った。
今回の「側転」は仲間の発案で決まったが、森さんの「でんぐり返し」はもともとは原作になく、舞台版の脚本・演出を担当した菊田一夫さんが稽古の段階で、「喜びの表現だから、やってご覧」と指示して生まれた。当初、森さんは「なぜ、でんぐり返しなんだろう」と疑問を抱きながらやっていたが、観客の反応もよく、それが見せ場になった。森さんは五輪体操の床競技を参考に、後方の客席の観客にもよく見えるように、大きなでんぐり返しを心掛け、3回もの連続ワザをみせた。その後、年齢とともに3回から2回、2回から1回となり、88歳となった08年に万が一を考えて「万歳三唱」に変わった。
仲間の「側転」には躍動感があり、回を重ねていけば、名物場面になっていくだろう。森さんの初演時の年齢は41歳で、仲間はそれよりも6歳も若い35歳。今回の初演で105回の上演回数を予定しており、仲間「放浪記」は長旅が始まった。




