背広を着た男たち、いや会社で働く人たちが主役の映画だ。だれもが身につまされるシーンが多い。左遷、保身、裏切り。組織の一員として生きる者の誇り、悲哀を重厚に描く。
原作は「半沢直樹」「陸王」「下町ロケット」など多数のヒット作を放つ直木賞作家、池井戸潤氏の同名小説。野村萬斎が演じる主人公の八角(やすみ)は中堅電機メーカーの係長。営業会議でも居眠りするほどのぐうたら社員の八角は、ある日、年上の上司の課長をパワハラで訴える。
この騒動をきっかけに企業の不正が明らかになり、グループの親会社を巻き込んだ大きな事件に発展する。八角の謎に触れようとした社員は、次々と左遷されていく。池井戸作品らしく組織の悪を描きつつも、ミステリーの要素がからんでいる。黒幕も最後の最後までわからない。
映画ならではのスケール感に少々、物足りなさがあるものの、役者たちの演技の熱量がすごい。野村萬斎の怪演、香川照之の「顔芸」、片岡愛之助、春風亭昇太、及川光博、土屋太鳳、過去の池井戸作品の出演者が続々と登場する。サムライ魂-。ラストの主人公の独白にはうならされた。【松浦隆司】
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