とんがって、突き抜けている作品だ。縦横無尽のカメラワークによる映像、カラフルな衣装、ポップな音楽。さまざまなエッセンスが盛り込まれた斬新さは、世界中の映画祭を席巻中だ。米サンダンス映画祭では日本映画初となる審査員特別賞を受賞した。

両親を亡くしても、涙が出なかった4人の13歳が火葬場で出会い、バンドを結成する。ゾンビみたいに感情がない、と大人たちから見なされている少年少女が「心を取り戻す」ための旅に出るというストーリー。主役の1人、ゲーム少年ヒカリ役の二宮慶多は「そして父になる」で息子役を演じた。今回も演技力が光る。主役級の佐々木蔵之介らがさりげなく脇役で出演している。メガホンをとった新鋭・長久允(まこと)監督は、広告大手でCMプランナーとしても働く。

「これって映画?」。間違いなく、好き嫌いは分かれる。随所で効く社会風刺がいい。「絶望とかダサっ」。子どもたちのせりふもとんがっている。4人が歌う <歌詞>ウィーアー、ウィーアー、リトルゾンビーズ 主題歌が耳から離れない。ゾンビのように心をなくしたはずなのに、切なくてグッとくる。【松浦隆司】

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