主演俳優が泥酔しようが、エキストラに死者が出ようが続く撮影…「ラ・ラ・ランド」のデイミアン・チャゼル監督は、コンプライアンスとは無縁だったハリウッド黄金期の撮影現場を活写していく。

狂騒の中で日没の一瞬をとらえ、フィルムに切り取られたクライマックスの何と美しいことか。これぞ黄金期、これぞ映画というエピソードが印象的だ。

ファンタジックな「ラ・ラ・ランド」とは趣を変え、その2年前に撮った「セッション」(14年)の狂気を思いっきりグレードアップしたテイストだ。

人物造形も凝っている。サイレント映画の大スター、ジャック(ブラッド・ピット)は周囲の称賛にいつも疑問を抱き、酒浸りの親友の危うい助言だけを頼りにしている。新進女優のネリー(マーゴット・ロビー)は役をつかむためなら手段を選ばない。彼女に一目ぼれしたメキシコ系の青年マニー(ディエゴ・カルバ)はジャックに取り入り、映画スタジオに職を得る。

栄華に浴した3人も、時代とともに洗練されていく映画界に居場所を失っていく。時の流れの残酷を描きながら、監督の黄金期への憧憬(しょうけい)があふれている。【相原斎】

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