本当に野球が好きだ。弱音は吐かずに黙々と一心不乱にバットを振り込む。真面目に、努力を怠らず、はい上がり、チャンスをつかんだときに病魔が襲った。

同名ノンフィクションと自伝「奇跡のバックホーム」が原作。脳腫瘍のため28歳の若さで亡くなったプロ野球・阪神タイガースの元外野手、横田慎太郎さんの生涯を描く。

鹿児島実業高出身で13年ドラフト2位で入団。3年目に開幕スタメン入りを果たすが、17年に脳腫瘍と診断された。19年の引退試合では、視力障害でボールが二重に見えたが、センターからノーバウンドの返球で二塁走者を本塁で刺した「奇跡のバックホーム」は、野球ファンの心に刻み込まれている。

横田さん役、支える母まなみさん役をそれぞれ松谷鷹也、鈴木京香が演じる。元野球経験者で父が元プロ野球選手の松谷は横田さんと共通点が多く、熱演が心に染みる。鈴木の息子への強い愛情に何度も涙をこらえた。柄本明の語り口は川藤幸三氏、そのものだった。撮影した多くのシーンを少し詰め込みすぎの印象を受けたが、製作陣の横田さんへの熱い思いだろう。野球を愛した背番号「24」が最後まで前向きに、全力で生き抜いた。【松浦隆司】

(このコラムの更新は毎週日曜日です)