俳優砂川啓介(さがわ・けいすけ)さん(本名山下啓一=やました・けいいち)が11日午前4時10分、尿管がんのため都内の病院で亡くなっていたことが18日、分かった。80歳だった。砂川さんはアニメ「ドラえもん」の声で知られる妻大山のぶ代(83)の認知症を公表し、介護していた。だが、昨年4月に尿管がんが判明。「君より先に死ねない」と闘病しながら、大山のサポートを欠かさなかった。葬儀・告別式は故人の遺志で近親者のみで行った。

 認知症の妻大山に、「君を置いて先に死ねない」と言っていた砂川さんにとって無念の死だった。

 16年4月に尿管がんと診断された砂川さんは、抗がん剤と放射線治療で入退院を繰り返しながら、大山をサポートしていた。今年5月15日に、肺にたまった水を抜くために入院。6月9日に退院も、同13日には血圧が60台に下がり、意識不明となった砂川さんをマネジャーが発見し緊急入院した。

 数日後、意識が戻った砂川さんはマネジャーに「すまないね。頼むよ」と、大山を気に掛けていたという。砂川さんが治療に専念するため、在宅介護から老人ホームに移った大山も数回見舞いに訪れた。砂川さんは会話できる状態ではなく、大山が「頑張って」「大丈夫?」と声を掛けたという。