女優吉岡里帆(25)が主演のフジテレビ系連続ドラマ「健康で文化的な最低限の生活」(火曜午後9時)で新人ケースワーカー役に挑戦している。

義経えみる(吉岡)は、安定な生活を求めて東京都東区役所に就職、公務員になった。だが、最初に配属された「生活課」で待ち受けていたのは、個性豊かな職場の仲間たちと、生活保護の壮絶な現実だった。彼女が担当する110世帯の生活保護受給者たちには、知れば知るほど奥の深い、それぞれの人生があった。原作は週刊「週刊ビッグコミックスピリッツ」に連載中の柏木ハルコ氏の同名コミック。

過払いによる多額の借金を抱えながら、えみるのサポートによって生活保護から卒業した阿久沢正男役の遠藤憲一(57)は「ヒューマンものも、こういう情けない役も大好きなんですが、ちょっと難しいのは、生活保護を受けているけど、阿久沢は決して堕落している人ではないんです。法テラスに行けばあっという間に解決するかもしれない、でも、なかなか行けない。僕自身もそういうのあるんです。役所のものがちょっと苦手というか、役所の人にも緊張するし、手続きも得意じゃなくてドキドキする。だから、阿久沢がわかりますね。演じる上では、あまりに生々しくやっても見る人が重苦しくなるから、生活保護という日本に本当にある制度を根っこに据えたリアリティーと、ドラマの虚構のミックスの加減をつかみたいと思います。ドラマなんだし、楽しさもないと」と話している。

第9話では、えみる(吉岡)の元に、孫のハルカ(永岡心花)と2人暮らしの生活保護高齢受給者・丸山幸子(小野和子)の家でボヤ騒ぎがあったと連絡が入る。慌てて家を訪ねると、そこには見知らぬ女性が。それは、4年前に娘を残して男と姿を消した、ハルカの母・梓(松本まりか)だった。

梓は、今後は幸子の介護をしながら、ハルカをきちんと育てると話し、そのために自分も生活保護を受けたいと申し出る。すでに生活を共にしていることから、梓は生活保護を受給できることになった。しかし、梓への不信感がぬぐえないえみるは、思い切って4年前に失踪した理由を尋ねる。すると、それまでの態度とはうってかわって、梓が攻撃的な一面を見せ始め、さらに、認知症が進んでいることを理由に、幸子の分の生活保護費も自分の口座に振り込むよう要求してくる。

一方で、元生活保護受給者の阿久沢(遠藤)の娘・麻里(阿部純子)が倒れた。知らせを受け病院に駆けつけた阿久沢は、医師から麻里が妊娠していると聞かされる。さらに、麻里が抱える秘密や、離れていた17年間の本音が次々と明かされていく。せめて、おなかの子供の父親を教えてほしいと願う阿久沢だが、麻里は何も話そうとしない。