菅田将暉(25)主演の日本テレビ系連続ドラマ「3年A組-今から皆さんは、人質です」(日曜午後10時30分)に出演中の福原遥(20)が、作品への思いや収録秘話などを語った。

菅田演じる主人公の高校美術教師が、生徒29人を人質にして教室に立てこもり、かつて自殺した生徒の死の真相に迫るという異色の学園ドラマ。生徒たちは、時に団結し、時に反目しながら、教師に向き合っていく姿が印象的だ。福原は、謎の死を遂げた生徒とともに水泳部員だった水越涼音を演じている。

収録現場の雰囲気を聞くと「すごく熱い現場です」と即答した。同世代の共演者たちによる演技の意見を交わし合うにぎやかな雰囲気を想像したが、「みんな芝居が好きで、この作品をいいものにしようと思っている人ばかり。例えば、前室でスマホを持っているような人は誰もいません。物語の性格もあるので、普段は仲がいいのに、現場では仲良しグループみたいに集まることはなく、教室に入ったらみんな一切、話しません。集中しています。真剣に芝居に取り組んでいます。それぞれが汗水流しながら切磋琢磨(せっさたくま)している感じ」。そこになれ合いはなく、演技者として、最大限のものを表現しようとする真剣勝負の場のようだ。

菅田とは、怒鳴り声を交えながら魂の激しいぶつかり合いとも言える迫力の演技を見せて、視聴者を引きつけている。「涼音は頑張り屋で努力家。いろんなことがあって心が乱れている設定。(ドラマは)間違った方向に行ったのを先生が正しくしてくれる内容。先生に全部を見られているというか、演じていても、心の奥にたくさん響くものがあります」。

熱演が話題になっている菅田の存在や演技をどのように感じているのか。「菅田さんは、役とかじゃなくて、伝えたいことが本当にある方。それを真っ正面にぶつけてくれました。その気持ちを受け取ったという感じでした」と強い刺激を受けている。

この作品を通じ、女優として、人として、何を感じているのか。「(菅田演じる)先生は、1人の生徒を叱っていても『みんなに言っている』と、いつも言っていますが、生徒役だけでなく、見ている方にも絶対に響いている作品だと思っています。例えば『うわべだけで物事を決めるな』『失敗をおそれて失敗しない人生なんて成功しない。失敗して、もがいて、もがいて、頑張って、また戻って、また頑張ることが正解』という趣旨のセリフは本当に心に響きました。先生の言葉1つ1つに、本当に重みがあって、見ている人の人生も変えるような言葉ばかり。私も自分を見つめ直す、きっかけになっています」。

多くの作品に出演してきたが、今回強く感じていることがある。「視聴者に思いを伝えたいというパワーは、これまで感じたことのないほどの強さ。どストレートに伝える作品。共演者みんな『芝居でこんなに心拍数の上がることはない』と言っています。緊張もするし、みんなでいいものを作ろうという強さが本当にある現場。今まで以上に、お芝居が好きになりました」。女優として転機を迎えている。【中野由喜】

◆福原遥(ふくはら・はるか)1998年(平10)8月28日、埼玉県生まれ。09年NHK・Eテレ「クッキンアイドル アイ!マイ!まいん!」のほか、16年日本テレビ系ドラマ「レンタル救世主」などに出演。18年テレビ朝日系「声ガール!」で主演。映画は17年「チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話」のほか、17年「女々演」、19年4月公開「4月の君、スピカ。」に主演。血液型A。

◆「3年A組-今から皆さんは、人質です」 遺書もなく突然亡くなった学園のスター生徒の死をめぐり、美術教師が生徒29人を人質にとり、亡くなった生徒の死の真相を探り、同時に人質の生徒たちに人として生きる上で大切なことを懸命に教える姿を描く。