映画「宮本から君へ」(真利子哲也監督)が、文化庁所管の独立行政法人「日本芸術文化振興会」(芸文振)から助成金交付の内定後、不交付と決定された処分の取り消しを求め、製作会社スターサンズが20日、芸文振を提訴した。
出演した電気グルーヴのピエール瀧がコカインの使用、所持で麻薬取締法違反罪で有罪判決を受けたことが「公益性の観点から適当ではない」というのが理由。内容に関わる点で助成金交付内定後、不交付の決定が下されたのは初だという。
河村光庸エグゼクティブプロデューサーは「政治家、官僚が全く意識しないで法律、憲法を逸脱したり、憲法違反の行為が日常的に行われている気がしてならない。芸術、文化にまで手を伸ばしてきた恐れがある」と表現の自由の侵害だと憤った。怒りの根底にあるのは、実際の出来事を元に官邸を批判的に描き、製作した映画「新聞記者」公開後に感じた世の中の空気がある。「テレビで一切、話題にされなかった。何とも言えない不自由、不寛容の空気が日本に怪物のように横たわっている。問題提起したい」。
不交付決定の原因となった瀧の出演場面は129分中11分で、出演率は9%に満たない。河村氏は「あれだけ皆さんから好かれた瀧さんが何で薬物に…という思いはあるが、関わった映画を取り消すことにキャスト、スタッフはじくじたる思いがあった」と声を詰まらせた。「映画そのものが公益で自由の最後のとりで。為政者を戒め、監視していく憲法を守っていくことを(国民が)認識できるよう、まず口火を切り継続していく」と誓った。【村上幸将】



