ファミコン全盛期に“16連射”で一斉を風靡(ふうび)した高橋名人(60)が、自身に関するデマが流布された過去を振り返るとともに、現在、ネットで拡散されたデマによってトイレットペーパーなどが買い占められている状況と重ね合わせ、「本当に少しは冷静になりましょう」と呼びかけた。

高橋名人は3日、「噂の拡散力」のタイトルでブログを更新。「私の『逮捕事件』の噂が流れたのは、1986年のことです」と、まだインターネットが普及されていなかった当時に広まったデマについて書き出し、「どうしてその噂が広がったのかと、推測すれば、それは『学校や塾を通して、一人が10人にと、10倍レベルで増えていったから』としか言いようがありません。これが学校だけなら、あそこまで広がらないのですが、塾を通す事で、他校に広がり、それがまた他校へ…という広がりだったのでしょう」と推測した。

根も葉もない噂だったが、またたく間に日本全国に広がっただけでなく、さらに海を渡り、3週間が経ったころにはドイツから問い合わせがあったという。「噂は、その元になった確実な証拠が無い事で、憶測に憶測を重ねていき、鼠算の様に増えていきます。私の逮捕事件も、本当に逮捕されていて、罪名がはっきりしていれば、ひとつだけだったのですが、実際の罪名が無いまま『逮捕された』という噂が広がっていくので、『どうして逮捕されたんだろう』から 連射は嘘だった 振動機を腕に仕込んでいた 薬を使っていた などの理由が作られていったのだと思います」と分析した。

そうした経験から、「今は、SNSが広がり、情報を検索する事も、ニュースで事件を知るのもあっという間にできるほどに、情報が多いのですが、その中から、『本当の情報』と『嘘の情報』を見分ける力もネチケット(※ネット利用時のエチケット)と同様に必要だと思います」と高橋名人。「まぁ、こんな事を言っていても、私が子供の頃のオイルショック以来治っていないのも現実だし、これが日本人なんだよと言われると納得してしまうのもあるので、どれだけ子供に教育をしても治らないのだろうと思いますが…」と虚無感をにじませつつも、現在のトイレットペーパー騒ぎに「本当に少しは冷静になりましょう」とつづった。