アップリンク元従業員浅井氏謝罪なく謝罪発表と怒り

  • 会見で涙ながらに「アップリンク」浅井隆代表を批判する、元従業員の浅野百衣さん(撮影・村上幸将)

映画の配給や映画館などの経営を行う「アップリンク」代表の浅井隆氏(65)からハラスメントを受けたとして、東京地裁に同氏と同社に対して16日に損害賠償などを請求する訴訟を起こした元従業員が22日、都内で会見を開いた。元従業員3人は、浅井氏が訴訟を提起されたことを受けて16日と19日に発表した謝罪文は、原告側に謝罪も断りもなく行われた、対外的に謝罪のポーズを示したものにすぎず、受け入れられないと涙ながらに憤った。

原告の代理人を務める馬奈木厳太郎弁護士は、16日の会見後、浅井氏が謝罪文をアップしたことについて「16日の声明は、当事者である私たちに事前に連絡があったものではない」と明らかにした。その上で「『誠意を持って対応して参ります』との文言が記載されているが、なぜ当事者である私たちに連絡を取り、まず謝罪しなかったのか。一体、誰に謝罪しているのか?」と疑問を呈した。

その上で、一方的な声明に憤りを覚えつつも、早期の解決に向けた前進の可能性が開けたと考え、18日に浅井氏側の代理人に、早期の協議に応じる意向を照会する書面を送付したことを明らかにした。その中で、和解協議に入るための内容として

<1>賠償

<2>謝罪

<3>ハラスメントの再発防止に向けた社内体制の改革の実施

<4>労働者との定期的な協議

<5>取締役会の設置

<6>外部の人間によるコンプライアンス確保のための委員会などの設置

などを求めたという。協議を通じて合意形成を目指す観点から、協議案の内容については、その段階で公表を予定していないとしたという。

それが19日に、浅井氏の代理人から早期の和解に応じる意向が記載された書面は送られてきたものの、同氏が代理人の了承もないまま、同日夕方にアップリンク公式サイトにアップした謝罪文を一部のメディアに交付していたと告げられたという。浅井氏の謝罪文には、

<1>外部委員会を設置し、社外の専門機関に、現在の社内の課題に関して調査を依頼し、コンプライアンスを徹底

<2>ハラスメント防止対策として外部への通報制度・窓口の設置

<3>社内の組織体制整備、とくにマネジメントの体制を整え、スタッフとの定期的な協議を行う

<4>取締役会を設置し、浅井代表1人の取締役という体制から、社内外含め複数の取締役で運営を行うべく準備中

<5>アンガーマネジメントなどのカウンセリングを受け、浅井代表が自身の問題解決に臨み、上司となる立場のスタッフにも研修を受けてもらい、徹底的なハラスメント撲滅に取り組む

などと書かれていた。

馬奈木弁護士は「謝罪がないことには…謝罪は、協議のそもそもの入り口に関わる話。原告に直接、きちんと謝罪することを求めたい」とした。その上で謝罪に加えて

<2>原告への賠償

<3>浅井氏だけが株主という現状を改め、株主が複数となるようにして、一部は従業員による持ち株会の保有とすること

<4>取締役を設置し、一部の取締役は社外の者とすること

<5>労働者との、定期的な協議の機会の確保

<6>取締役会から独立した第三者委員会を設置し職場環境、コンプライアンス、過去のハラスメントについて調査、提言を行う権限を与え、取締役会は提言を順守する

馬奈木弁護士は「浅井氏個人の問題のみに限定すると、問題の所在を見誤る。浅井氏が力を持ち、ハラスメントが日常、繰り返されたのはアップリンクの内部に構造的な問題があったということ」と強調した。