16日に封切られたアニメ映画「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」(外崎春雄監督)が、興行収入100億円の大台を突破したことが26日、分かった。配給のアニプレックスが、公開10日で興収が107億5423万2550円を記録したと発表した。それまで、100億円を最速で突破したのは、興行収入で日本歴代最高の308億円を記録した、宮崎駿監督の2001年(平13)のアニメ映画「千と千尋の神隠し」の25日で、その記録を19年ぶりに、大幅に更新した。

「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」は、公開から3日間で46億2311万7450円、動員342万493人を記録していた。配給のアニプレックスによると、週末の24日は興収15億94万4600円、動員111万5182人、25日は興収15億4050万4150円、動員115万7654人を記録。10日間での動員は798万3442人に上った。

興収100億円を突破した日数では、これまで「千と千尋の神隠し」の25日に次ぐ28日に、新海誠監督の16年「君の名は。」と、01年の「ハリー・ポッターと賢者の石」が並んでいた。「君の名は。」は、日本の歴代興収ランキングで全体4位、邦画で2位の興収250億3000万円を、「ハリー・ポッターと賢者の石」は全体5位の203億円を記録している。興収173億5000万円で全体8位、邦画の実写映画では最高の興収を記録した03年「踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」(本広克行監督)も公開から29日。日本映画の歴史上、興収100億円の大台突破には、どの作品も公開から20日はかかっており、公開から10日台で突破した作品は初めてだ。

20年の興収ランキングで見ても、7月17日に公開され、興収53億4000万円を記録している「今日から俺は!! 劇場版」(福田雄一監督)を公開2週目でかわし、トップに躍り出た。それまで2位だった米アカデミー賞作品賞、監督賞などを受賞した韓国映画「パラサイト 半地下の家族」(ポン・ジュノ監督)の47億円も、公開から4日目の19日で抜き去り、3位の「コンフィデンスマンJP プリンセス編」の37億7000万円も、公開から3日目の18日までに興収46億2311万7450円を記録しており、その時点で超えていた。

入場者プレゼントとして、原作者の漫画家・吾峠呼世晴(ごとうげ・こよはる)氏が、主人公竈門炭治郎(かまど・たんじろう)が加入する鬼殺隊の最高位“柱”の1人で、映画の中でキーマンとなる炎の呼吸を使う炎柱・煉獄(れんごく)杏寿郎を主人公に描いた、書き下ろし漫画を収録した「煉獄零巻」を先着450万人に配布した。それが、21日には一部の劇場で配布が終わり始めた。土日の24、25日には、多くの劇場で配布が終了したという。

「鬼滅の刃」は、炭治郎が家族を殺した鬼と戦うために鬼殺隊に入り、修業し、鬼と化した妹禰豆子(ねずこ)を人間に戻す方法を探して戦う物語。16年2月に「週刊少年ジャンプ」で連載を開始。19年にアニメが放送され人気絶頂の中、5月に連載を終えて話題となった。その人気を受け、今回の映画は全国403の映画館で公開と、破格の公開規模で封切られた。都内のTOHOシネマズ新宿では初日の16日に全12スクリーン中、11スクリーンで計42回、翌17日も41回上映されたことも話題となった。

今回の「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」は、19年9、10月に放送されたアニメの最終話で“竈門炭治郎 立志編”の物語が幕を閉じたシーンで、炭治郎と仲間たちが乗り込んだ“無限列車”を舞台に、炭治郎たちの新たなる任務が描かれた。40人以上の行方不明者を出しているという無限列車を舞台に、炭治郎たちと史上最強の敵・魘夢(えんむ)との激闘が展開される中、煉獄が任務に挑む姿が初めて描かれたことも話題で、後輩の炭治郎らに激励の言葉を投げかけたシーンが感動を呼んでいる。