6代桂文枝(77)が1月20日過ぎに妻、母を相次いで亡くしていたことが、27日までに分かった。

関係者によると、真由美夫人は67歳で、その後、母の治子さんも99歳で亡くなったといい、治子さんは3月に100歳の誕生日を控えていた。

上方落語界に「創作落語」というジャンルを確立させた文枝は、その原点に母、そして妻の存在があった。父を知らずに育った文枝は、住み込みで働いていた母に育てられ、子供のころ知恵を絞って遊びを工夫していた。その経験が、落語家としての創作力へつながり、目標としてきた300作を超えるネタ作りにつながった。

治子さんは、数年前から施設に入所しており、文枝がたびたび訪ねても、最近では「僕のこともよう分からんようになってきた。でも、やっぱり1日でも長く生きてほしい」とも話していた。

真由美夫人とは、夫人が大学生だった72年に結婚。5代目文枝に入門直後から売れっ子になり、テレビにも進出した夫を支え、子供の面倒も見て、文枝の活躍を支えてきた。年齢差とは逆に、少年のような無邪気さがあった文枝を時にはたしなめることもあったといい、95年の参院選出馬をめぐっては、夫人の意向で取りやめたこともあった。

文枝自身、妻の度量には感謝の気持ちを口にすることもたびたびあった。関係者によると、夫人は「数年前から闘病していた」と明かすが、それまでは治子さんの介護も担っていた。