ロシアの侵攻を受けるウクライナ支援に尽力している米俳優ショーン・ペン(62)が8日、首都キーウを訪問し、ゼレンスキー大統領に自身がかつて受賞したアカデミー賞のオスカー像を「幸運のお守り」として手渡した。

大統領が、ペンがオスカー像を手渡しにやってきた際の動画をインスタグラムに投稿し、「ショーンは、わが国の勝利の信仰の象徴としてオスカー像を持ってきた。戦争が終わるまで、それはウクライナにあるでしょう」とつづった。

今年2月に侵攻を受けて以降度々同国を訪れ、ゼレンスキー大統領とも面談しているペンは、自身が受賞したオスカー像2つのうちの1つをプレゼントしたいと申し出たが、辞退されたため、「勝利するまで持っていて欲しい。戦争に勝って(自宅がある米カリフォルニア州)マリブに返しに来てください」と述べ、「貸与」という形で手渡した。

ペンは、映画「ミスティック・リバー」(03年)と「ミルク」(08年)でアカデミー賞主演男優賞に輝いている。今年3月に行われたアカデミー賞授賞式でゼレンスキー大統領の出演が実現しない場合は、抗議のため受賞した「オスカー像を溶かす」と表明していた。4月には、武器を手にウクライナを守るためロシア軍と戦うことも考えたと明かしていた。

ペンはドキュメンタリーの撮影のため、ロシアの侵攻が始まった2月24日はキーウに滞在しており、多くの市民と一緒に徒歩で隣国ポーランドに避難し、その後は避難民の支援活動に尽力している。9月にはウクライナ侵攻を批判していることなどからロシア政府の制裁対象となり、永久に入国を禁止された。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)