「涙のリクエスト」「少女A」「2億4千万の瞳」などで知られる作詞家売野雅勇氏(72)の作詞活動40周年記念オフィシャル・プロジェクトMIND CIRCUS SPECIAL SHOW「それでも、世界は、美しい」が15日、東京・丸の内の東京国際フォーラムに5000人を集めて行われた。出演者19組が、売野氏作詞の全40曲を熱唱した。
藤井フミヤ(61)は、弟の藤井尚之(58)と共にトリで登場。赤いチェックのスーツ姿で「星屑のステージ」「ジュリアに傷心」「Song for U.S.A.」を披露した。「今日は売野さんのフェスということで、曲のセレクト、曲順も売野さんが決めている。なんで俺だけ、きついチェッカーズを歌うのかとも思うけど、売野さんが曲を書いてくれたから、俺も尚之も存在します」と感謝の言葉を口にした。そしてアンコールで「涙のリクエスト」を披露した。フミヤは「盛り上がってくれてありがとう。タイムマシンにのって、あの頃に戻れましたよね」と笑顔。最後は「2億4千万の瞳」を出演者全員で熱唱した。
売野氏はコンサートの題名について「普通のサーカスはフィジカルでアクロバットなのだけど、MIND CIRCUSは頭の中で、どんなことを感じてもらえるのか。音楽は本来、アクロバットなものだと思う」。そして「やっぱり、僕は出会いがよかったんだな。自分の才能というより、いい作曲の方と出会えたのがラッキー、いい歌手の方と出会えたのがよかった。人生は出会い、億千万の出会い(笑い)。僕は出合った時に愛嬌(あいきょう)があったんだと思う。男は度胸と言うけど、男も愛嬌だと思う」と話した。
エンディングでは「よく座右の銘を聞かれるんだけど、ないですと言ってきた。それは長いから。ジョン・レノンが『世界で一番かっこいいのはチェ・ゲバラだ』と言ったんです」とキューバ革命の英雄の名前を挙げた。そして「ゲバラは1967年にボリビアに死を覚悟して行って殺害されるんですけど、その時に子供たちに宛てた最後の手紙書いて行ったんです。そこに『この世界のどこかに不当に虐げられた人がいたら、いつも心を痛めなさい。それが革命家の最も美しい資質である』と書いたんです。“資質”というのは“クオリティー”なんだけど、私は“品性”と訳したい。今日、歌ってもらった曲のベーシックに流れるものです」と話した。
チェッカーズの一連のヒット曲でコンビを組んだ作曲家芹澤廣明氏(75)が登場して花束を手渡されると、売野氏は「この方の事、僕は『運命の男』と呼んでいるんです。もしも、この方に出合わなければ『少女A』は書けなかった」と2人とって出世作となった1982年(昭57)の中森明菜の大ヒット曲を振り返った。そして「芹澤さんに取っても、明菜さんにとっても、僕も『運命の男』。僕と芹澤さんが出合わなければ『少女A』は生まれなかったから。そういう意味では、僕らが出合ったのは大変なこと」と話した。
売野氏の弁舌に、芹澤氏は「今、あなたの才能に対して、天才だと思う」。売野氏は「だそうです(笑い)。今日は何度も泣きそうになったけど、皆さんの歌が響いたから。やっぱりMIND CIRCUSなんだなと思う」と話した。
中西圭三は「Woman」、中村雅俊は「想い出のクリフサイド・ホテル」、荻野目洋子は「六本木純情派」Max Luxは「Take Me to Fujiyama」、東京パフォーマンスドールは「キスは少年を浪費する」、杉山清貴は「最後のHoly Night」、稲垣潤一は「夏のクラクション」、麻倉未稀は「ヒーローHOLDING OUT FOR A HERO」、近藤房之助は「夢を継ぐ人」、森口博子は「水の星へ愛をこめて」、山内惠介は「誰に愛されても」を歌った。横山健は矢沢永吉が歌った「SOMEBODY’S NIGHT」を、中森明菜の「少女A」は望月琉叶がカバーした。他に山本達彦、さかいゆう、中島愛、Beverlyが出演。音楽監督を作曲家、編曲家の船山基紀氏(72)が務めた。
◆売野雅勇(うりの・まさお)1951年(昭26)2月22日、栃木県生まれ。上智大卒業後コピーライターに。ファッション誌編集長を経て、81年河合夕子の「東京チーク・ガール」で作詞家デビュー。郷ひろみ「2億4千万の瞳」、中森明菜「少女A」、ラッツ&スター「め組の人」チェッカーズ「涙のリクエスト」、稲垣潤一「夏のクラクション」、荻野目洋子「六本木純情派」、矢沢永吉「SOMEBODY’S NIGHT」などを手がける。90年映画「シンデレラ・エクスプレス」の脚本・監督。01年舞台「ミッシング・ピース」の脚本・プロデュースなど。



