ハンドボール男子元日本代表主将で“レミたん”の愛称で知られる土井レミイ杏利(34)を取材した。フォロワー700万人超の人気TikTokクリエーターの顔も持ち、現役時代から精力的に動画を投稿。“バズり”動画の制作で意識していることを聞いてみた。
土井は、仏でプレーしていた18年夏に、友人に誘われTikTokを始めた。「最初は友だちを笑わせるためだけにやっていたんですけど」。ある日、パーカーの腕部分に足を出して音に合わせて踊る動画がバズった。
TikTokへの向き合い方が変わったのは、フォロワーからのコメントだったという。「動画見てると1日の疲れが吹っ飛びます」「今闘病中ですごく苦しいけど、あの動画を見てまた戦います」などのコメントを受け、友人を笑わせるためだけに制作していた動画が人の助けになる可能性に気付いた。
選手生活と並行し、動画制作にも力を入れるようになった。「『やらなきゃ』とは思っていなくて、反応が返ってくることがうれしいんですよね。見てくれてる人たちの存在が、モチベーションです」。
土井はフランス人の父、日本人の母をもつ。小学3年生からハンドボールを始め、日体大をへて仏リーグで約6年間プレー。フランスではチームメートからの人種差別に悩んだ時期もあった。
「僕があの辛い日々を乗り越えられたのは、苦しい状況の中でも楽しい感情を作り出すことができたからなんです」。自身の経験も踏まえ、「楽しい時間の提供」に大きな価値を見いだす。“さくっとひと笑い”をモットーに日々動画を制作している。
コミカルな表情や動きが人気を呼び、多いときには1日30万人フォロワーが増えることもあった。ユニークでクスりと笑える、“バズり”動画の内容はどのように思いつくのか。「だいたいその辺にヒントとかアイデアは転がってます。トレンドがあって、それを自分なりにこうしてみよう、みたいな」。
土井の動画は「世界中の人が見て笑えるように」と、言葉を用いず表情やしぐさなどで笑いを引き出すものが多い。編集時は視聴者の視点に立ち「とにかく間延びしないように。切り取り方1つで笑いが大きく変わっちゃいますし。音が0・1秒ずれてるだけでも気になります」。
編集のメソッドなどがあるわけではなく、全て自身の感覚頼みだという。「あんなにふざけてる動画でも、細かい制作のこだわりはめちゃくちゃありますね」と笑顔で話した。
動画投稿で一番大事にしていることは「誰も傷つけない」こと。自身の作品の中で特にお気に入りのものを聞くと「物の気持ちを表現するシリーズ」と回答。「ゴミ箱に投げ捨てられる紙くずになりきる、みたいな。誰も傷つかないし、世界中の誰が見ても理解できる」と話した。
「まだやっていないだけで、アイデアはたくさんあります」とにやり。これからも、レミたんは“笑い”を通して世界中の人を支え続ける。【玉利朱音】



