参議院議員を3期務めた「ヒゲの隊長」こと佐藤正久氏(65)が、コメンテーターに転身した。陸上自衛官時代はイラク先遣隊長を務め、国会議員になってからもSNSで発信を続けてきた佐藤氏に聞いた。【小谷野俊哉】

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2004年(平16)にイラク先遣隊長として派遣された。トレードマークのヒゲは、その時から伸ばしている。

「イラクに行く直前からだから、もう20年以上です。イラクのある中東、その前に行ったゴラン高原のあるシリアに行った時もなんですけどね。中東っていうのは、もう男はほとんどヒゲを伸ばしている。やっぱり男としては、ヒゲを伸ばしている方がいろんな面でコミュニケーションが取れてやりやすいということがあるんです。一人前の男であるとともに、ちゃんと約束を守る男の証しにもなるんです」

40歳をすぎて伸ばし始めたヒゲ。毎日の手入れも大変だ。

「放っておくと刺さるんで、毎日ハサミで切っています。上唇に突き刺さると痛いんですよ。自衛隊員はヒゲは伸ばしていいんですけど、その形が難しい。口の周りはいいけど、ほおの方はガスマスクを被るときに、ヒゲを伸ばしていると隙間からガスが入って来るから。イラクでも、毎朝ヒゲの手入れは欠かしませんでした」

年齢とともに、手入れにも手間がかかるようになった。

「クリームを塗るようなことはありませんけど、白髪交じりになって来たから髪の毛と同じように黒く染めています。ヒゲはね、平和の象徴でもあるし、イラクの人だってヒゲのある人のほうが信頼してくれる」

もうひとつ、ヒゲには身を守る大切な役目があった。

「中東に行くとですね、男同士で結構手をつないでるんです。向こうは一夫多妻制ですから、そうすると勝ち組と負け組が出てくるんです。負けた男性同士がカップルになったりしてるんです。それで、日本人というのは若く見られがちですから、男の人に口説かれないようにヒゲを伸ばした方がいいと。少し年配に見せようってことでね。一夫多妻制には、いろいろな歴史がある。中東では戦いによって旦那さんを失った奥さんを、部族の中の人が面倒見るということもあるんで。いろいろな状況があるということです」

イラクから帰国して、07年から参議院議員になってもトレードマークのヒゲは蓄え続けた。

「イラクから帰国して、参議院議員になってからなんですけど、イラクから多くの人が日本にやって来るわけですよ。そうすると私と再会して、私がまだヒゲを蓄えてると喜ぶんですよ。『ああ、佐藤はまだイラクを忘れていない』と、友好の証しだと思われるんですよね。『佐藤のヒゲは国有財産だから許可がないと切れない』なんてこと二なっているわけです(笑い)」

参議院の投票では、トレードマークがあだになったこともある。

「佐藤正久っていう名前を浸透させる障害になりました。『ヒゲの隊長』って投票用紙に書いてあっても、票になりませんから。『ヒゲ』『ヒゲの隊長』『スーパーマリオ』、最初の時は『サダム・フセイン』なんてイラクの大統領の名前まで書かれまし。ヒゲの隊長から入ってきて、名前を覚えてもらうまでに行き着かない(笑い)」

(終わり)

◆佐藤正久(さとう・まさひさ)1960年(昭35)10月23日、福島市生まれ。83年に防衛大を卒業して陸上自演隊入隊。96年に国連PKOゴラン高原派遣輸送隊長。04年イラク先遣隊長、復興業務支援隊長。07~25年に参議院議員。血液型O。