松山千春(69)が12日、東京国際フォーラムで開催したコンサートを取材した。

国際フォーラムでは毎年春と秋の2回、コンサートを実施している。だが、昨年秋は病気療養のため、ツアー自体が中止となった。今年春には本格復帰を果たしているが、おじさん記者はこのコンサートを取材できず、おそらく、1年ぶりの松山千春となった。

そのコンサートを地震が襲った。8日には、青森県東方沖を震源とするマグニチュード(M)7・5の地震が発生。12日午前中にも同所で発生し、北海道太平洋沿岸中部、青森県太平洋沿岸、岩手県、宮城県に津波注意報が出されていた。

そして、午後7時5分。会場で取材していると、座っていた椅子が揺れ始めた。それは、ちょうど今回のツアーで披露している新曲「葉子」の弾き語りのため、フォークギターを手にした時だった。

突然の揺れに会場はざわめいた。だが、千春は落ち着いていた。「まあ落ちくべ!」とファンに呼びかけ落ち着かせた。「こういう時に変にあたふたしてもダメ。揺れが止まったら歌い出すから」と続けると、「歌い始めてから揺れても、歌っていると思うけどな。アハッ!」と、千春独特の笑いを交えた軽妙なトークでファンを和ませたのだった。

幸い、揺れはすぐに収まった。同地震は、青森県東方沖を震源にした一連のものではなく、茨城県南部を震源にするものだった。会場付近は震度3だったが、それ以上に揺れたようにも感じた。地震にも動じず、しっかりファンを落ち着かせる千春の姿を目の当たりにし、「さすがだな…」と感心したのだった。

16日には古稀を迎える。「米寿になろうが、90になろうが、100になろうが、歌える力があるなら、生きているなら、歌い続けたいと思っています」と生涯現役を誓った。「もう髪の毛がこんな状態ですから、歯が抜けるのを待つだけです。インプラントをやってますが…」の冗談も忘れなかった。

同コンサートの冒頭には「しゃべるのに疲れた。だから歌主体でいく」と宣言。「マジか?」と思った。その歌も、もはや“クセスゴ選手権”状態。オリジナルソングとは懸け離れたアレンジなのだが、ライブは生もの。オリジナルソングが聴きたければCDを聴けばいいのだ。

そして「歌主体で行く」は、やはり壮大な“フリ”だった。ほぼ1曲ごとにトークを展開した。このトークも含めてこそが、松山千春のコンサートの魅力であることを改めて実感したのだった。【川田和博】