歌舞伎俳優尾上右近(34)が23日、大阪市内で自主公演「研の會(かい)」(9月5~6日、大阪・国立文楽劇場)の取材会を行った。

演目は、長らく上演されていなかった「藝阿呆(げいあほう)」、初役となる「鷺娘」、さらに右近の原点とも言うべき「春興鏡獅子」の3本。15年に始めた自主公演は今回がファイナルとなる。

「始めた当時は23歳でした。20代前半のころは、自分のための自己投資の公演だった」と振り返り、「結果がついてこない時期が続いていた」と当時を回想。「10回はやる」と有言実行を掲げて続けてきた公演シリーズの集大成となる。

「始めた当時は10回やることが必死のパッチだったが、10回で終わることにはすがすがしい気持ちがある。続けられてよかったという思いでいっぱい」と節目の公演への思いを語った。

最後の自主公演は「なるべく自分1人の力で舞台に立つような演目を選んだ」といい、休憩込みで約3時間半、ほぼ1人で舞台に立つ。

取材会ではサプライズもあった。世界的アーティストの横尾忠則氏が手がけた公演の特別ポスターがお披露目されると、右近は「うわ~、おもしろ。何、これ…。すごいな」と興奮気味に話した。

「毎回、僕をこういうふうに見てくれている。同じ時代に生きている幸せ」と感激した。

横尾氏からは「ファイナルこそと思い、特別な思いを込めた。何も描いていない、無のような、空のような作品にしようと思って描きました」とメッセージが読み上げられた。

現在の心境の核心をつくようなポスターに右近は「もうずっと見てくれている不思議な方。ずっとご一緒してきたような感覚になります。僕自身も、何もない空間でも1つの表現、わずかな表現で伝えることができる、かすかな自信が芽生えたなと感じている」と話し、役者として次のフェーズに入っている実感をにじませた。

大阪・国立文楽劇場と東京・明治座でも10月2、3日の計4日間8公演を行う。