難しい離婚問題を、漫画を通して理解しましょう(c)赤ネコ
難しい離婚問題を、漫画を通して理解しましょう(c)赤ネコ

離婚問題にまつわるあれこれを、漫画で学べる連載「離婚事件対決 コン弁護士vsポン弁護士」が始まります!離婚弁護士として名を馳せるコン弁護士とポン弁護士が、それぞれの依頼者に寄り添い(?)、離婚事件の解決に挑みます。漫画を手がけるのは、弁護士兼マンガ家の赤ネコさん。第一回のテーマは、「性格の不一致で離婚はできるの?」です。


■1.妻が離婚を拒否… 夫婦の合意なくして離婚はできるの?


草太さんが明かした離婚理由は、性格の不一致(c)赤ネコ
草太さんが明かした離婚理由は、性格の不一致(c)赤ネコ

「妻と離婚がしたい」

恋多(れんた、32歳)さんが、腕利きの離婚弁護士として評判のポン弁護士を訪ねてきました。

恋多さんは、妻の愛(34歳)さんと結婚して5年目。「性格の不一致」を理由に離婚を申し出たものの、愛さんは応じてくれない様子です。性格の不一致で離婚をしたいのに、相手が合意してくれない…。このような場合、離婚は成立するのでしょうか。

ポン弁護士の助言とは。


■2.裁判で離婚が認められるためには「法定離婚事由」が必要


性格の不一致の内容を聞かれて、急に歯切れが悪くなる草太さん(c)赤ネコ
性格の不一致の内容を聞かれて、急に歯切れが悪くなる草太さん(c)赤ネコ

まずは、離婚の基本的な進め方を確認しておきましょう。離婚には、大きく分けて3つの種類があります。

(1)協議離婚・・・夫婦の話し合いによって成立する離婚。お互いが合意すれば、どんな理由であっても離婚することが可能

(2)調停離婚・・・夫婦だけでは話し合いがまとまらなければ、離婚調停を家庭裁判所に申し立て、調停委員を交えて話し合う。その結果、夫婦の合意が得られた場合に成立する

(3)裁判離婚・・・離婚調停でも話し合いがまとまらなかった場合、家庭裁判所に訴えを起こし、裁判官の判断で離婚が認められるかどうかが決まる

話し合いで合意が得られず、愛さんが離婚を拒否し続けた場合、(3)の離婚裁判に進むことになります。

ただし、裁判で離婚が認められるためには、ポン弁護士が言う「法定離婚事由」が必要です。法定離婚事由とは、民法で定められた5つの離婚理由のことです。この5つのいずれかに該当することを証明できなければ、裁判で離婚は成立しません。


■法廷離婚事由の具体的な中身とは


法定離婚事由の内容は以下の通りです。

・配偶者に不貞行為(いわゆる不倫)があったとき

・配偶者が悪意をもって同居をしなかったり、生活費を渡さなかったりしたとき(悪意の遺棄)

・配偶者の生死が3年以上明らかでないとき

・配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき(2026年5月までに施行される改正民法によって削除予定)

・その他、婚姻を継続し難い重大な事由があったとき

勘のよい方はお気づきですね。恋多さんが主張する性格の不一致は、法定離婚事由に含まれていません。つまり、性格の不一致では裁判離婚が成立しないことになります。恋多さんは離婚ができないのでしょうか…?


■性格の不一致で、離婚はできるのか?


まず協議離婚や調停離婚であれば、夫婦の合意があれば離婚はできるので、性格の不一致が原因でも離婚できます。

ただし、愛さんが首を縦に振らない場合は、離婚裁判となり、理由が問われます。

ポン弁護士は、性格の不一致の内容が「その他、婚姻を継続し難い重大な事由」に当てはまれば、離婚が認められるかもしれないと助言します。

この「婚姻を継続し難い重要な事由」には、暴行・虐待、性格の不一致、セックスレス、金銭問題、親族問題、宗教上の問題などが含まれます。

したがって、恋多さんと愛さんとの間に横たわる性格の不一致の中身が「婚姻を継続し難い重大な事由」に当てはまるかどうかが、今後の焦点となります。


■婚姻関係の破綻の証明が必要


性格や価値観の違いといっても、その内容は夫婦の数だけありますが、単に「食べ物の好みがあわない」「金銭感覚が違う」「子どもの教育方針の違い」だけでは、裁判所は離婚を認めてくれません。

裁判で離婚が認められるには、性格の不一致がもとになって夫婦関係が破綻していて、今後も改善の見込みがないことを証明する必要があります。

例えば、以下のような状況があれば、離婚が認められる可能性があります。

・性格の不一致が原因で別居して、一定期間が経過している

・性格の不一致が原因でうつや不眠となり、病院に通院している

・浪費が激しく、何度やめてと言っても改善しない

・価値観が違うことに対し、常に暴言を浴びせてくる

事例からわかるように、性格の不一致で裁判離婚するのは、そう簡単な話ではありません。したがって、夫婦の話し合いで誠実に話し合い、合意によって離婚する方が現実的な面もあります。さて、恋多さん。ポン弁護士の「どんな性格の不一致なの?」という質問にしどろもどろです。後ろめたいことがあるのでしょうか?性格の不一致に限らず、離婚の悩みは人それぞれ異なります。そのため「どのように準備を進めるか」「どのように話を進めればいいか」「どんな証拠が必要か」などについて、あらかじめ弁護士に相談して把握しておくことが大切です。夫婦の話し合いがうまく進まないときには、離婚問題に強い弁護士への相談を検討してみてください。

(記事は2025年10月1日時点の情報に基づいています)

◆赤ネコ(弁護士・漫画家)赤ネコ法律事務所 所長

マルチクリエーター。イラストやキャラクターデザイン、漫画・シナリオ制作。著書に『マンガ 弁護士のための史上最悪の離婚事件』(学陽書房)『Constitution girls 日本国憲法』(PHP)『司法修習QUEST~弁護士になるまでに』(新書館)『法律擬人化! 赤ネコ式六法全書』(マイナビ出版)など。第二東京弁護士会所属。赤ネコ法律事務所所長(この名前の法律事務所は実在します)。第二東京弁護士会仲裁センターあっせん人。

赤ネコ(弁護士・漫画家)赤ネコ法律事務所 所長
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