令和元年、2019年の世相を1字で表す「今年の漢字」が新元号の「令和」に使われた「令」に決まり、日本漢字能力検定協会が12日、京都市東山区の清水寺で発表した。応募総数21万6325票の中で3万427票を集めた「令」は、決まりやおきてという意味のほか、素晴らしい、良い、立派という意味があるという。2位に「新」、3位には「和」が選ばれ「令和」がトップ3に入った。日刊スポーツでは恒例の各界著名人の今年の1字も紹介します。

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▽橋本聖子五輪担当相(55)…「躍」

橋本氏は日本オリンピック委員会(JOC)副会長を務めていた中、9月に五輪兼女性活躍担当大臣に就任した。「来年は東京五輪・パラリンピックだという意気込みを持って、今年を迎えましたし、9月に拝命された担当の女性活躍にもこの文字が入っていました。選手に求められる色紙などにも、『躍動』『飛躍』といった言葉を書きます。流れの中で、直感的に『躍』かなと。パッと浮かびました」と説明した。

五輪にスピードスケートと自転車で計7回出場。日本選手団団長を3回務めた。五輪は「ライフワーク」と捉えている。「責任ある立場で来年を迎えられることに、重たいものを背負ったと同時に、非常に光栄です」と気を引き締めた。

現時点で思い描く来年の漢字を聞いた。「『喜』ですね。日本中が喜びにあふれ、笑顔があふれる大会にしたいですね」と話した。

 

▽女子日本代表「なでしこジャパン」の高倉麻子監督(51)…「混」

6月に高倉体制ひとつ目の集大成となったW杯フランス大会に臨み、16強敗退。「チームのやろうとしたことや、選手が代表として努力していることなど、全てが混ざり合った1年でした」。来年には2つ目の集大成でもある東京五輪を控える。「混沌(こんとん)としている部分もあるけど、いいものを抽出していく。五輪もそうですし、未来につなげていきたい」。

 

▽プロ野球ヤクルトの村上宗隆(19)…「新」

セ・リーグの新人王を獲得したヤクルト村上は「新」の1字をしたためた。今季は高卒2年目以内で歴代最多タイの36本塁打、同最多の96打点をマーク。19歳6カ月でのサヨナラ弾は、プロ野球の最年少「新」記録で「悔しい時もよかった時も、すべてがいい経験。自信になる成績だった」と話す。「新」成人となる20年の目標は、チームの優勝と日本一だ。

 

▽プロ野球ソフトバンクの甲斐野央(23)…「学」

ソフトバンク甲斐野はルーキーイヤーだった今季を振り返り、「学」の文字を選んだ。「今年はプロ入り初めての挑戦だった中で、いろんな経験をしたし、多くのことを学んだので」と説明した。開幕戦でプロ初登板初勝利、セットアッパー65試合登板、日本一、ジャパンで世界一と貴重な体験の連続。「学んだことを来年に生かしたい」と引き締めた。

 

▽ラグビー日本代表CTB中村亮土(28)…「一」

中村が選んだのは「一」。W杯日本大会で史上初のベスト8進出を果たしたチームを、体を張ったプレーで支えた仕事人は「令和元年に日本ラグビーの新たな歴史をスタートできた。最後はONE TEAMで戦えた」と説明した。トップリーグが開幕する20年1月に向け「向上心を持って、もう1つ自分の殻を破っていきたい」。

 

▽ボクシング2団体統一バンタム級王者井上尚弥(26=大橋)…「成」

1月にワールド・ボクシング・スーパーシリーズバンタム級制覇を成し遂げた井上は「成」を選んだ。戦前から5階級制覇王者ドネア(フィリピン)と尊敬し合う言葉を交わし、決勝リングで激闘を繰り広げた。「ドネア選手との関係性はボクサーとしてだけではなく、本当に人としても成長させてもらいました。なので成長の『成』です」と解説した。

 

▽JRA騎手の藤田菜七子(22)…「学」

藤田は「学」をすらすらと記した。「今年は特に学ぶことの多い1年でした」。2月のフェブラリーSではJRA女性騎手として初のG1騎乗。6月にはスウェーデンでの女性騎手招待競走で優勝を飾った。8日のカペラSで待望のJRA重賞初制覇。「この経験をもっと生かしたいです」。知名度、実績は若手トップクラス。女性騎手として未到の領域を進み続けた。

 

▽囲碁棋士の芝野虎丸二冠(20)…「初」

芝野にとって、「初」づくしの年だった。タイトル戦初挑戦で、初のタイトル獲得は、史上初の10代名人。「目標としていたタイトル戦を初めて経験できた上に、勝ててうれしかった」と笑顔を見せる。その1カ月後の11月、20歳になってすぐ王座も奪取した。初防衛がかかる来年に向け、「1局1局大事に戦います。初心忘るべからずです」と、抱負を語った。

 

▽お笑い芸人のレイザーラモンRG(45)…「兵」

ラグビーW杯日本代表初のベスト8入りを、リーチ・マイケル主将の格好で応援した。「『兵』と書いて『つわもの』。代表応援ソングのB’zさんの『兵、走る』の字も、曲もピッタリ。エゴがない文字で、ラグビーの戦いを表している」。W杯直前から1カ月間は超多忙。「日本代表の活躍に勇気づけられました。吉本興業は暗い話題が多かったんですけど、全部ジャッカルしてくれました」

 

▽タレント優木まおみ(39)…「柱」

2人の女の子を育てつつタレント活動しながら、9月にピラティス指導者資格を取得。「共働きで子育てをしながら、家族の柱ができたと感じられた」。10月には初のピラティス教室を開催した。「芸能の仕事をしながら、ピラティスも教えられるようになって、自分自身の柱を増やすことができた。みんなの心と体を元気にしたい。来年は40歳になるので、また新しい人生が始まる気持ちです」

 

▽アクティビストの石川優実(32)…「靴」

女性にハイヒールやパンプスを履くことなどを強いる企業の服装規定をなくすことを目標にした活動「#KuToo」の発信者。1月の石川さんのツイートをきっかけに2月に署名運動が始まり新語・流行語大賞トップテン入り。「自分も意識しなかった靴という言葉から、こんなにジェンダーについて考えるとは思わなかった。考えるきっかけになってもらいたい」。