政府は新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言に関し、きょう1日から北海道、東京、埼玉、神奈川、千葉の1道1都3県を除き、府県をまたぐ移動の自粛が緩和される。観光、レジャーなどが活発化する中で旬の山菜「行者ニンニク」などがフリマアプリに多数出品され、販売されている。各省庁は食中毒への注意喚起、林野庁は国有林での販売目的の採取に警鐘を鳴らしている。

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府県をまたぐ移動の自粛緩和で今後、野山にも活気が戻りそうな中、フリマアプリなどでは、高山などに自生する旬の山菜「行者ニンニク」などが多数出品され、販売されている。行者ニンニクは山伏など修行者が食べたとされており、滋養強壮や免疫力を高める効果などがあるとされ、「コロナ禍」で注目されているが、注意が必要だ。

5月5日、北海道小樽市で行者ニンニクと類似している有毒植物「イヌサフラン」を間違えて食べた40代男性が食中毒を起こし、医療機関に入院した。誤食による食中毒の被害は毎年発生している。道の駅などで業者が行者ニンニクと間違えて有毒植物を販売したケースなどもあり、厚生労働省など関係省庁では例年、公式ホームページで注意喚起を行っている。

また、入手ルートも疑問視されている。行者ニンニクは北海道や本州中部から北の高山地帯などに自生しているが、群生地の多くは国立公園などの国有林とされている。フリマアプリでは北海道や山形、長野など各県から出品され「天然物」「採れたて」の説明で500グラム1580円などで出品されると、すぐに完売していた。キロ単位で出品されているものも少なくない。

フリマアプリで出品販売されている行者ニンニクが「天然物」とすれば、国有林などで採集した可能性がある。林野庁では「国有林で販売目的の採集を行う場合には、林産物の売買契約が必要で管轄の森林管理所に届け出る必要がある」としている。

山菜類ではワラビやタケノコ、コシアブラなども多数出品されている。林野庁は「個人が消費する程度の採集は問題ない」としているが、林産物で生計を立てていない個人による販売には法的な問題が生じる可能性があるだけに、副業的な販売には注意が求められている。【大上悟】