25日午後5時18分ごろ、埼玉県川口市のJR西川口駅ホームで通過する記念列車を撮影するために集結した鉄道ファン同士で撮影場所に関するトラブルが発生し、押し倒された男子中学生が頭蓋骨を折る重傷を負った。10~20代の男が現場から立ち去っており、埼玉県警川口署は傷害事件として男の行方を追っている。

署によると、男は身長約170センチで、上下黒っぽい服装で帽子やメガネをかけておらずマスクをしていたという。ヘアスタイルは短めの黒髪。カメラやバッグなどをすべて体に背負っていて、事件発生現場に所持品は残していなかった。

現場には臨時快速列車「あしかが大藤まつり号」が東京方面に戻るため、ホームには止まらずに通過していた。捜査関係者によると「ちょうど線路のカーブの加減がよいらしく、事件現場から撮影すると走り去っていく列車がすべておさまる構図になるようだ」と話した。

当時、事件現場には撮影好きの鉄道ファン、通称“撮り鉄”が10人前後いたという。逃げた男は前に陣取っていた別の男子中学生が撮影の邪魔になるため「しゃがんでくれないか」と注意したが応じられず、首もとをつかんでもみあいになった。その様子を被害者の男子中学生がスマートフォンで撮影し始めたことから、押し倒したとみられる。その際に男子中学生は後頭部を強打して頭蓋骨骨折に至った。

男子中学生は意識があり、命の危険はないが、全治のほどは不明。逃げた男は事件発生から2分後の午後5時20分発の大宮行きの京浜東北線に滑り込むように乗車して、以降消息が分かっていない。

署では、押し倒した男子中学生への傷害と、最初にもみ合いとなった男子中学生への暴行の容疑で男の行方を追っている。【寺沢卓】