1日に89歳で亡くなった元東京都知事で作家の石原慎太郎さんの告別式が5日、東京都大田区の自宅で近親者のみで営まれた。

午後3時ごろ、長男伸晃氏、次男良純、三男宏高氏、四男延啓氏らが、石原さんが納められたひつぎを霊きゅう車に運んだ。出棺の際に兄弟4人は深く一礼。弔問客の中からは「先生ありがとうございました」との声が上がった。都内の斎場で荼毘(だび)に付される。

兄弟4人は自宅の前に並び、伸晃氏が「本当に最後のお別れをしてまいります。生前、父石原慎太郎に賜りましたご厚情、心込めまして感謝申し上げ、ごあいさつとさせていただきます」と話した。良純は抱えていた遺影を見つめながら、肩をふるわせた。

石原さんの関係者によると、ひつぎには石原さんが生前気に入っていたという自身の著書「私の海の地図」(世界文化社)が納められた。戒名は「海陽院文政慎栄居士(かいよういんぶんせいしんえいこじ)」。神奈川県逗子市の海宝院の墓に入るという。石原さんは生前、自民党内タカ派政策集団「青嵐会」の名称から取った「青嵐報国」の四文字を石碑に彫ることを強く望まれたといい、今後彫刻を予定している。

この日は遠い親戚に当たる小泉純一郎元首相も参列した。午前11時半には岸田文雄首相が弔問に訪れ、約5分間滞在した。岸田氏は弔問後に取材に応じ「お顔を拝見しながら、改めて衆参国会議員25年以上、そして東京都知事として13年、その間のご功績に心から敬意を申し上げ、お亡くなりになった今、その存在の大きさを痛感しております。心からお悔やみを申し上げます」と話した。関係者によると、石原さんのお別れの会は新型コロナの感染状況をみて5、6月ごろの開催を検討しているという。【沢田直人】