参院選愛媛選挙区(改選定数1)には現職と新人の計5人が立候補している。参院予算委員長で、4選を狙う自民現職、山本順三氏(67)に、元アイドルで立憲から推薦を受けた無所属の高見知佳氏(60)ら4人の新人が挑む構図だ。

高見氏が県内を奔走している。1日、今治市内でマイクを握った高見氏は「毎日、暑い日が続きますが、元気になっている自分が怖いです。みなさんの声援のおかげです」。16歳でアイドル歌手としてデビュー。「くちびるヌード」などのヒット曲で知られ、映画やドラマ、バラエティーなどで長く活躍したが、アイドル時代とは違う「声援」だ。

01年の結婚と沖縄移住を機に芸能界を引退。離婚、シングルマザーとして子育てを経験し、4年前に母(90)の介護のため、ふるさと新居浜市へ戻ってきた。

昨年末、元南海放送アナウンサーで無所属の永江孝子参院議員(62)から出馬を口説かれ、「国民に不安を抱かせる政治を変えたい」と決意。選挙戦では1人の生活者としての視点を大切にしている。「みなさんの暮らしの中で困っているという声を受け止めています。この切実な声を国政に届けたい」。

中高年以上への高見氏の知名度は抜群だ。日刊スポーツの取材に自民の山本氏は「知名度? 関係ない。自分のベースをしっかり固めていくことが、選挙の根幹。相手がだれであろうが、関係ない。われわれは自分の訴えをアピールしていく。それがすべて」とぴしゃりと言い放った。

街頭では防災担当相などを務めた3期18年の実績を強調。「県内は4年前、西日本豪雨の被害に襲われた。何としても人の命、地域を守るため、もう6年頑張りたい」と支持を訴える。

組織力を生かし、選挙戦を優位に進めるが、山本陣営関係者は「楽観はできない」と気を引き締めた。【松浦隆司】