藤井聡太竜王(王位・叡王・王将・棋聖=20)が史上最年少6冠を目指して渡辺明棋王(38)に挑戦する、将棋の第48期棋王戦コナミグループ杯5番勝負第1局が5日、長野市「長野ホテル犀北館」で行われ、先手の藤井が125手で渡辺を破った。

棋王戦11連覇を狙う渡辺は黒星発進となった。第2局は18日、石川県金沢市「北國新聞会館」で行われる。

戦型は角換わり。午前中は互いの深い研究がうかがえるハイペースの展開で、渡辺は昼食休憩に入る時点で、消費時間はわずか21分。午後は一転、長考の応酬となった。終盤、劣勢になった渡辺は粘りを見せたが、届かなかった。

終局後、渡辺は「勝負どころがなんか、どこだったのか、よく分からないままになってしまった」と振り返り、「たぶんあったとしたら、狭い範囲の中に勝負どころがあった気がする。なんか、サッと過ぎてしまった将棋になってしまった」と悔やんだ。

藤井とはタイトル戦は4度目の対決となるが、タイトル戦では、これで9連敗となった。20年棋聖戦、21年棋聖戦、22年王将戦の過去3シリーズはいずれも奪取・防衛を許している。約1年ぶりのタイトル戦で意地を見せたいところだ。

第2局は先手番となる。持ち前の巧みな序盤戦術を駆使し、シリーズ対戦成績をタイに戻すことができるか、注目される。渡辺は「(第2局まで)2週間あるので、仕切り直したい」と前を向いた。