ダービーは先達に学ぶ。「短期間にどれだけ良くなったかが勝負」。これは現役ジョッキー時代にダービー2勝を挙げた小島太氏の言葉だ。水島晴之「G1の鍵 その一瞬」は、伸びしろの大きい3頭に注目。サンライズジパング(牡、音無)は急仕上げの皐月賞9着から立て直して走りが変わってきた。上位馬との差をどこまで詰められるか検証する。
サンライズジパングのポテンシャルと成長を語るうえで、外せないのが1月20日の若駒Sだ。前半から行きっぷりが悪く、4コーナーでは最後方。手綱を取った武豊騎手も「だめかな」と思ったそうだが、直線は外から一気に前を捉えた。
進んで行かなかったのは道悪の影響もあるが、それだけなら最速の脚は使えない。道中は遊びながら、鞍上に叱られてようやく本気を出す。そんな若さ全開のレースぶりが、より強さを引き立たせ、大きな伸びしろを感じさせた。
ホープフルSはゴール前で寄られる不利がありながらレガレイラの3着。JBC2歳優駿はケンタッキーダービー3着のフォーエバーヤングと一騎打ちに持ち込んだ。その一方でカトレアS15着、皐月賞9着と成績にむらがあり評価は低いが、秘めたポテンシャルはG1でも通用する。
また、小島氏が言う「成長」の部分にも変化がうかがえる。皐月賞は予定していた弥生賞を回避した影響で急仕上げ。今回は1週前にCウッド7ハロン97秒6-11秒3の好時計で併走馬に3馬身先着。以前より全身を使って動けるようになり推進力が増した。音無師も「前回は追い切りが強すぎた。今回の方がいい」と上積みを見込む。
東京替わりもプラスだ。跳びが大きく、広いコースはもちろん合うが、もう1つ、手前の関係から左回り向きの印象がある。若駒Sは3、4コーナーからゴール前まで右手前1本。1週前追い切り(右回り)も同じ。それだけ右手前が得意で強い証拠。直線で左→右にスイッチする左回りの方がはじける可能性は高い。
ここへきて非凡な能力に体力が追いつき、精神面の成長も見られる。スタミナ型で距離延長も歓迎。コース条件も含め、伸びしろ無限大のサンライズジパングに一発の魅力を感じる。
■ここが鍵 皐月賞後の「一気に成長」
小島太氏は78年サクラショウリ、88年サクラチヨノオーでダービーを2勝している。当時を振り返って「皐月賞が終わってからグンと良くなる馬がいる。そういう馬じゃないとダービーは勝てない。ショウリもチヨノオーもそうだった」。近年では18年ワグネリアン(弥生賞2着→皐月賞7着)がこれに当てはまる。夏の上がり馬はよく聞くが、この時期も成長の過程で一気にピークを迎える馬は結構いる。皐月賞は完成度の違いで後塵(こうじん)を拝したが、この1カ月半で(心身の)成長が追いつけば、その差を埋めることは十分に可能だ。
■自在性魅力 メイショウタバル
皐月賞のメイショウタバルは、前半1000メートル57秒5で飛ばしては失速もやむを得ない。中2週の強行軍でテンションが高かった影響もあったのだろう。中間は馬の後ろでリラックスして走れるように調教してきた。浜中騎手も「我慢できている」と評価。毎日杯を6馬身差で逃げ切った印象が強いが、未勝利勝ちは中団からの差し切り。折り合えばどんな競馬でもできる自在性が魅力だ。
■我慢覚えた アーバンシック
アーバンシックは折り合いに課題があったが、横山武騎手が調教、レースを通じて我慢することを教えてきた効果が出てきた。皐月賞はスタート直後に不利があり、位置取りはかなり後ろになったが、直線はいい感じで伸びてきた。器用さに欠けるタイプで、広い東京コースに替わるのも歓迎だ。最近のレースぶりなら2400メートルでも掛かる心配はなく、決め手勝負なら上位争いになる。




