人生には三つの坂がある(上り坂、下り坂、まさか)なんて話は、ひと昔前の結婚披露宴などで散々聞かされましたが、今週、出張先で自分自身が「まさか」の緊急入院をする羽目に。

で、6人部屋のベッド上でスマホをいじっていたら、「まさか」の柴田善臣騎手引退ですから驚きました。翌朝、病院の売店で久々にスポーツ紙を全紙購入し、中央競馬の良心、万人に愛される偉大なレジェンドの軌跡を、そりゃ隅から隅までたどりました。

騎手としての実績、情熱、仕事に対する姿勢はもちろん、あれだけ人徳のある方ですから。レースでのクリーン&いぶし銀の騎乗に加え、ヨシトミさんの、はにかんだような笑顔に触れ、ファンになった人がどれだけいることか。芸能界で言えば萩本欽一さん、(元)プロレスラーなら小橋建太さん、シンガー・ソングライターではAI(あい)ちゃんにも似た、ファンに愛される温かいオーラ、空気感(取材を通じた個人の感想です)。プロと名の付く職業の方々は、どれだけファンに愛されているかが評価のバロメーターですから、ヨシトミさんの偉大さは一目瞭然ですよね。

さて今週のメインはオールカマー。ヨシトミさんは同レースを2勝(01年エアスマップ、12年ナカヤマナイト)していますが、最も印象に残っているのは89年のオールカマー。あのオグリキャップが快勝したレースで、8番人気のオールダッシュを2着に導いたのがヨシトミさん。道中は後方で待機し、直線内から馬群を割ってロジータ(牝馬で南関3冠を制覇)やサニースワロー(87年ダービーでメリーナイスの2着)、名脇役ランニングフリーらを退けての2着好騎乗でした。

今年のオールカマーは武豊騎乗のジューンテイクに有り金勝負。ヨシトミさんと同じ昭和デビュー組のすごみ、渋さを存分に見せてもらいましょう! 私事で恐縮ですが、最近は「下り坂」と「まさか」ばかりで、「上り坂」にはすっかり見放された感。願わくば、レジェンド武豊の神騎乗で「上り坂」へと方向転換。もう「まさか」はこりごりですから。

12年オールカマーを制したナカヤマナイトと柴田善騎手
12年オールカマーを制したナカヤマナイトと柴田善騎手