ただ今、長期出張中の某イベント会場で出会った酒とバクチ好きの九州男児が、後輩から「オジキ」と呼ばれるN氏(72)。

大分の中津競馬場(01年廃止)近くで生まれ育ち、物心つく頃から競馬にハマったというN氏がイベント初日、連日の雨でぬれた芝生の斜面に足を滑らせ、斜面の下の縁石へ突っ込んでいったから驚いた。

ただ、とっさの受け身で顔面直撃だけは回避したのが不幸中の幸い。並の人間なら頭から縁石に突っ込み、ご臨終となっていても不思議じゃない場面だった。

「滑り落ちた瞬間、視線の先に縁石が見えてな。頭だけは守ろうと右ひじを犠牲にして方向転換したんだよ。大分の学生時代、柔道部で鍛錬していたのが今になって役立った。我ながら会心の受け身だったな。がははは」。右ひじと脇腹、それに3本の指を多量の鮮血で染めたN氏は豪快に笑った。

そんなNのオジキはイベント期間中、休日や休憩時間に馬券勝負しては惨敗続き。無料のスタッフ弁当で必死に食費を浮かせ、酒代を捻出していたが、ついに財布の中身が底をついたようだ。「夏以降、馬券の調子が下降気味でな。JRAで3週連続負けて、イベントのギャラ(前払い、推定50万円)を半分も溶かしてしまった。でも俺が毎日、スタッフ弁当を3個平らげているのは少しでも食品ロスを減らしたいからで、決して飲み代や馬券代を浮かせるためじゃないからな。勘違いするなよ」。

N氏のせこい錬金術には興味ないが、バクチの負けはバクチで取り返すというN氏の心意気にはちょっぴり共感。「今週は毎日王冠で大勝負するから。狙いは俺と同じ超ベテラン(N氏は現場最高齢)のセイウンハーデス。7歳の今年、大阪杯5着、安田記念4着と、老いてますます盛んなのがいい。ギャラの残りを単勝にぶち込みたいところだが、安全策で複勝にしておくか。むふふふ」。

東京巧者(東京のプリンシパルSとエプソムCを快勝)の同馬が激走すればNのオジキの老後も当分は安泰か。いずれにしても、推定50万もの前払いのギャラを全部溶かす残念な結末だけは避けてもらいたいもの。だって、約1カ月もただ働きじゃ悲しすぎるじゃありませんか(笑い)。

※毎週金曜掲載