今月で震災から1年半が過ぎました。珠洲ホースパークには今なお被害が残っている状況ではありますが、おかげさまで珠洲市やJRAのサポートを受けて復旧を進めています。

先日は地震で崩れた事務所の屋根をようやく直してもらえました。今は下水道の修復が始まりましたが、馬がいる状況で工事を進める難しさを感じています。騒音の問題もありますし、馬の動線をカットするわけにもいきません。行政や工事業者の方々も引く手あまたで休む間もないぐらいですから、こちらの事情をご理解していただくのは心苦しい気持ちもあります。

屋根を修復中の珠洲ホースパーク事務所(角居氏提供)
屋根を修復中の珠洲ホースパーク事務所(角居氏提供)

一方で、敷地内にはまだあちこちに地割れが残ったままです。今でも割れ目や段差が大きくなったりしていて、しばらく見ないうちに「あれっ?」と気づくこともあります。これだけの時間が過ぎているのに、地殻変動が続いているのには驚かされるばかりです。

復旧と並行して、放牧地の新設も進めています。年末には15頭が入れる新厩舎が着工する見通しですし、日本財団から助成をいただいてコミュニティー施設「鉢ケ崎のみんなの家」の建設も始まる予定です。地元の方も、訪れた方も、みんなが笑顔で過ごせる場を提供できればと思います。

牧場の隣に置かれていたがれきは、7割ほどがなくなりました。近くを車で走ると、崩れた家がどんどん撤去されて、元の街並みがどうだったか分からないぐらいになっています。1年半がたち、ぎりぎりの日常を過ごせてはいますが、復興したという実感はほとんどありません。

珠洲ホースパークの厩舎の様子(角居氏提供)
珠洲ホースパークの厩舎の様子(角居氏提供)

「また家を建てて能登に戻ろう」という人は少ないですし、もし戻ったとしても仕事は見つけづらいでしょう。災害をきっかけに街が破綻しないよう食い止めるのに必死の状況です。

「災害列島」とも呼ばれる日本では各地で次々と被害が起きます。最近はニュースで能登が取り上げられることが減り「今どうなっているのか分からない」という話も聞きます。そういう状況の中で、今も牧場には競馬ファンの方々がわざわざ訪れてくださいます。本当にありがたいことですし、競馬の持つ魅力をあらためて感じています。これからもあきらめずに頑張っていくつもりです。(月末に掲載)

■ヴィクトワールピサ産駒活躍に声弾む

トルコで種牡馬として奮闘するヴィクトワールピサについて、かつて調教師として管理した角居氏が喜びを語った。先月に同国のダービーで、現地での初年度産駒がワンツーフィニッシュ。異国からの朗報に「聞きました。ありがたいですよね。海外でも種馬として活躍してくれてうれしいです」と声を弾ませていた。