暑い。先週は雪が降っていたはずの美浦トレセンも、今週はなぜか夏日まで気温が上昇。体調に気をつけつつ、春G1開幕を告げる高松宮記念を含めた4重賞の取材を行っています。

G1ゼッケンを着けた馬は、遠くから双眼鏡なしでも見えるわかりやすさ。美浦所属の3頭(ウイングレイテスト、サトノレーヴ、トウシンマカオ)は無事に追い切りを終えました。

そのG1ゼッケンと同じ、いやそれ以上にわかりやすいのが、新人騎手のみが着ける黄色いヘルメット。調教開始から終了時間いっぱいまで、数多くの馬にまたがります。

毎日杯(G3、芝1800メートル、29日=阪神)に出走するキングノジョー(牡3、田中博)の追い切りは2頭併せ。先行していたダングラールに乗っていたのは、黄色い帽子…。あれ、もしかして。15日の中京5Rで落馬負傷し、先週の騎乗を見合わせていた、ルーキー・舟山瑠泉騎手の姿でした。

落馬したレースを中山競馬場から画面越しに見ていた当方。かなり危ない落ち方だったので、「あっ!」と声が出ました。同じように感じた方もいらっしゃると思います。

とにかく心配でした。初勝利を挙げ、順調に切れた騎手人生のスタート。騎手本人から「毎日でも乗っていたいくらい楽しい」という言葉も聞いていたので、この落馬は肉体的以上に、精神的なきつさが勝ると思っていました。

しかし、2週間足らずで騎乗再開へ。心配と安心感から、厩舎でルーキーへ話を伺いました。

「いやぁ、危ない落ち方でしたよね。意識がなかったみたいなので、ほとんど記憶がないです。結構痛みもあって…。あ、これは大変と思っていました」。

頭部と腰部の負傷でしたが、けがの程度としては大事には至らなかったようで、「痛みもなくなってきて乗れそうだったので、今週から乗ってます」。胴体にコルセットを巻いて痛みを和らげつつ、元気な姿を見せてくれました。

小学生の頃には、大きな交通事故にあったことも明かしてくれましたが、当時は骨折もなかったとか。丈夫な体を持っているのかもしれない。当時を振り返って「その時のおかげでブレーキの重要性を学びました(笑い)」と得るものもあったようです。

ただ心配なのはメンタル的な部分。デビュー時期の落馬はトラウマになってもおかしくないはず。その部分は…、「全くないですね。逆に自分がここにいると危ないなと、危険を察知するようになったと思います。今日も調教で狭くなった場面があったのですが、怖さはなく冷静に対処できました。あの落馬を経験できてよかったと思います」と堂々と答えてくれました。

競馬に乗れなかった先週を経て能力全開。「見ているとやっぱり乗りたくなりますよね。もっともっと乗りたいです」と意気込む。

今週からは、世界で活躍する“雷神”ジョアン・モレイラ騎手(41)が来日。共演もかなう可能性が高いです。

「うまいですよね。引っかかる馬でもちゃんと抱えて好位を取りに行けるのがすごいと思います。技術を全部盗みたいです」と目を輝かせていました。

痛みを学びに変え、名手との共演に胸を躍らせる舟山騎手。今度はどんな学びが待っているか、けがに気をつけて、また話を聞かせてほしいです。【深田雄智】