鬼門を突破できるのか-。伝統のG1、天皇賞・秋(芝2000メートル、11月2日=東京)の最終追い切りが29日、東西トレセンで行われた。調教深掘り企画「追い切りの番人」は東京の桑原幹久記者が担当。昨年2着のタスティエーラ(牡5、堀)に注目した。前走は香港のクイーンエリザベス2世Cを勝利。過去10年で参戦6頭すべてが5着以下の「前走海外G1組」の好走はあるのか、迫った。

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結論から言えば、物足りない。躍動感に乏しかった。タスティエーラは美浦ウッドでレーン騎手を背に2頭併せ。外ジェイパームス(古馬オープン)を3馬身差で追いかけ、直線入り口では1馬身差に。残り200メートル、鞍上の手が動くもすっと反応できない。最後まで差は縮まらなかった。時計は5ハロン65秒1-11秒6(末強め)と出たが、確認できた過去24本の追い切り映像と比較しても、うなるような“らしさ”がなかった。

日ごろから冷静なジャッジを下す堀師も、トーンが上がらない。

「一番いい時に比べれば、特にしまいの400メートルに入ってから自分から行くような感じではないですし、少しシャープさが足りないなという印象です」

昨年は9月21日、今年は同月20日とほぼ同時期に帰厩。指揮官によれば帰厩時の535キロは過去最高体重(前走出走時は498キロ)。目標を先延ばしにする案もあったが、2週前追い切り後に出走を決断した。「息遣いも荒くてちょっと乗り込みが足りない」と太め残りを前提に調整を進行。ウッド調教は昨年比1本増の5本を消化し「ここ2週だけでなく、その前の週も少し負荷は強めていますし、徐々に良化している。このひと追いでどこまでよくなるか」と策を講じた。

救いは鞍上のジャッジだ。レーン騎手は「先週しっかりやっていると聞いていたので、スムーズにリズム良く運んだ。リズム良く、手応えも良く、しまいも良かった」と好感触を伝えた。2年前のダービー、前走とコンビ3戦2勝。「前走の香港はダービーの時よりも落ち着いていたし、馬体面でも成長を感じた。しっかり力もついていた。今回は香港と大きく変わらない」と評価は高い。

過去10年の天皇賞・秋において「前走海外G1組」は不振を極める。16年エイシンヒカリ12着、17年ネオリアリズム13着、22年シャフリヤール5着、23年ドウデュース7着、24年リバティアイランド13着、同ダノンベルーガ14着。6頭の実力馬が期待に応えられなかった。ただ、タスティエーラは【2 1 0 1】の府中巧者。現状で高評価は与えられないが、昨年2着の実績も軽視できない。「直前の気配まで注視が必要」との判断にとどめる。