ミラノ・コルティナ五輪(オリンピック)に出場する米国代表選手の間でトランプ米政権に対する批判が渦巻くなか、バンス米副大統領は11日、「スポーツをするため、国を代表してメダルを獲得するためにそこにいる。政治の話題は避けろ」と苦言を呈した。米移民税関捜査局(ICE)による強硬な移民摘発に関連して複雑な心境を示したフリースタイルスキー男子のハンター・ヘスらを念頭に、「五輪が政治の舞台に上がれば、ある程度の反発は覚悟しなければならない」と警告した。
米CNNなどの記者団に対し、副大統領は選手たちへのアドバイスとして「国を代表するということは、民主党と共和党の両方を代表することだ」とコメント。過去の五輪でも政治的な発言をする選手はいたが、ほとんどの選手は政治的立場に関わらず素晴らしい活躍をしていると話し、「海外で自国の大統領を攻撃することではなく、自分のスポーツをプレーし、国を立派に代表することが役割だと理解している」と述べた。
今大会では米ミネソタ州で市民2人がICEの捜査官に相次いで射殺された事件をめぐり、代表選手が自国の政治情勢について記者から問われる場面が増えている。ヘスのみならず、同じくフリースタイルスキー男子代表のクイン・デリンガーも「米国で政治的分断が広がっている。競技やスポーツは常に人々を結び付ける手段」と述べている。また、フィギュア女子代表アンバー・グレンもトランプ政権下でのLGBTQIA+コミュニティが直面する困難について会見で語ったあと、「SNSで恐ろしいほどの誹謗中傷や脅迫を受けた」と明かしている。
トランプ大統領はヘスを「負け犬」だと非難。代表にふさわしくないと罵倒して分断を煽り、「(米国に)帰ってっくるな」とSNSに書き込む共和党議員もいた。
現地時間6日に行われた開会式に出席したバンス副大統領は、星条旗を手に米国選手団の入場を見守る姿がスタジアムの大型スクリーンに映し出されると、観客から激しいブーイングを浴びたと報じられている。(千歳香奈子)

