日本は動きが重く、スピードもなかったのは、人工芝の影響もあっただろう。敵地では長時間移動の疲れや時差、環境の違いなどハンディはある。そんな中、危ない場面もあったが、本気で脅かされることはなかった。いい時間帯に2点を奪い、勝負は決まった。相手は逆転勝ちしようというより、最終的な得失点差を考えて大量失点しないように、引き気味に試合を続けた。終盤の日本は歩きながらサッカーをしていたようなもの。運動量が持ち味の長友がこの日は目立たなかったことに象徴されるように、10日のモンゴル戦に比べたら“省エネ”で、試合をコントロールした。

これで2次予選1位突破は決定的だ。日本と他の4チームとは実力差がありすぎる。日本は1位通過しなければならない立場だが、それが重圧になるほどのレベルではない。ラグビーW杯の日本代表のように強い相手と対戦するならチャレンジ精神もわくだろうが、この2次予選でチャレンジ精神を持つのは難しい。

南野がコンスタントに得点しているのがいいが、これが最終予選でできるかが大事。ゴール前のヘディングで日本が9割以上競り勝てたのは、相手は足元のテクニックはあっても体を張るタイプではなく、中央の守備が弱かったからだ。もちろん選手の責任ではないが、この3連勝で錯覚はしないでほしい。現段階では誰が先発にふさわしいとか、連係がうまくいったとか、そういうことを評価する内容ではないと思う。

次の11月の試合に向けて課題は何か? レベルの差が大きくて、チームとしての課題も見えてこない。各選手が所属クラブで着実に出番を得て、活躍することだけだ。(日刊スポーツ評論家)