ジャパネットたかた創業者でもある高田明社長(70)が「長崎の奇跡!」と甲高い声で感激したV・ファーレン長崎のJ1初昇格から1年。J2降格が目前だ。

クラブは、元陸上選手で五輪に3度出場した為末大氏(40)による走法伝授や、トレーナーによるメンタル強化でサポートしてきた。新しいホームスタジアム建設へ動きだすなどモチベーションも高めようとしてきた。

開幕前には高田社長が「J1でも奇跡を起こしたい」と長崎旋風を誓っていのだが‥。次節11月10日のホーム横浜戦(トラスタ)で降格が決まる可能性がある厳しい現実に直面している。

就任6年目の高木琢也監督(50)は、11月4日の鳥栖戦(ベアスタ)に敗戦後「この状況なので内容より勝ち点を取るために必要なことをやる」と話した。

とはいえ、引き分けでは意味がない。超攻撃的な4トップ布陣や、これまで以上のハイプレスが必要なのかもしれない。序盤から攻撃に特化して主導権を握る術はあるはずだ。

当然、選手交代の判断遅れで失点した鳥栖戦のようなミスも犯してはいけない。崖っぷちの今こそ、残り3試合全勝するまさに“長崎の奇跡”なる意地を見せてもらいたい。

高田社長が「J1になって1年でJ2に戻るのではなく、2、3年後にACLも目指したい」と夢を描いた初のJ1への船出だった。被爆地から平和のメッセージを届ける意味から選手は千羽鶴が描かれた「平和祈念ユニホーム」を着用してプレーするなど長崎らしさで善戦してきた。

最下位ではあるが、高田社長の座右の銘「夢を持ち続けて日々精進」を最後まで実践してほしい。【菊川光一】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「サッカー現場発」)

◆菊川光一(きくかわ・こういち)1968年(昭43)4月14日、福岡市生まれ。福岡大大濠高-西南大卒。93年入社。写真部などを経て現在報道部で主にJリーグなど一般スポーツを担当、プロ野球等のカメラマンも兼務する。スポーツ歴は野球、陸上・中長距離。