国際サッカー連盟(FIFA)のジャンニ・インファンティノ会長(50)が今月19日のFIFA理事会後にオンラインで会見を行った。

その中で、22年ワールドカップ(W杯)カタール大会について聞かれると、スタジアムだけでなくすべてのインフラが周到に準備されていると称賛。「25年ほどサッカーの運営に関わってきたが、開幕まで1年以上あるこの時期に、これほどまでに準備された国はカタール以外、見たことがない」と話し、現時点での同国の状況を「アメージングだ」と表現した。

カタールではW杯で使用される全8会場のうち、4つのスタジアムが完成。すでにオープニングセレモニーを終え、実際に試合で使用されている。それ以外にも、まだゲームでは使われていないが完成しているスタジアムが1つ。残り3会場もそれぞれ80%以上の部分がすでに出来上がっているという。

また、出場国が使うことになる41の練習場も準備OKの状態。昨年行われたアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)と今年2月のクラブW杯で試験的に使用された。

施設面の充実ぶりに加え、コロナ禍における感染症対策も万全だ。外部との接触を遮断した「バブル」と言われる環境をしっかり整え、国内カップ戦やクラブW杯を制限付きながら有観客で開催した。インファンティノ会長は会見で「22年W杯ではスタジアムが満員になることを100%確信している。カタールがこの難しい状況の中、最先端の技術でクラブW杯を開催した姿を見て、その自信を得た」と明言。W杯本大会では海外からのファンも含め、制限なしで観客を動員する意向を示した。

当たり前だがコロナ禍で大会を開催するのは容易なことではない。日本人として、迫り来る東京五輪のことを考えると、実は少々憂鬱(ゆううつ)な気分になる。例えば五輪でも導入されるという「バブル」。これをつくりあげるには、さまざまな手順が必要だ。昨年のACLでは1チームにつき1つの宿舎が確保され、部屋も1人1部屋。ホテル内での行動も制限された。コロナ感染者が出た場合の隔離施設も、チームごとに用意しなければならなかった。外部と交わらずにスタジアムへ到着できる交通手段や、定期的な検査、施設の消毒など、考えるべきことは山ほどある。

しかもこれらの環境を整えて、ようやくサッカーという1つの競技が開催できるのだ。30競技以上ある五輪を行う能力がはたして東京にあるのか? 分からないというのが正直なところだ。ただ少なくとも本気で五輪を開催したいのであれば、成功例から学ぶ姿勢を見せて損はないと思う。カタールが有観客で開催した大会も、入場が許されたのは現地在住の人々だけ。今夏五輪との類似点はあるはずだ。

車や家電など、かつての日本は海外の製品から学び、それにひと手間加えてさらに良いものを作り出すことが得意だったはず。カタールの大会運営をまね、その上で日本流にアレンジすることは、コロナ禍での安全な五輪開催に向けて分かりやすい近道になるはずだ。【千葉修宏】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「サッカー現場発」)