オランダ1部ヘーレンフェインに所属する日本代表MF小林祐希(24)は5日、日本へ帰国する前に1-3で敗れた4日のスパルタ戦や、日本代表について「個人」の重要性を熱く語った。

 小林は9月10日、3-1で勝利したトゥエンテ戦でデビューすると、リーグ戦8試合すべてに先発。スパルタ戦で敗戦したものの、出場した公式戦9試合で無敗(7勝2分け)だった。

 チームでの役割は、自身が希望するトップ下ではなく、ボランチや左MFと、攻撃だけでなく守備も求められていた。しかし、スパルタ戦では左MFで先発も、トップ下のように攻撃的にプレー。オランダに来てからの約2カ月半を振り返った。

 ◆俺はパス&ゴーをしているから俺の「個」も生きる◆

 俺はこれまでチームメートの「個」を生かすプレーをしていた。今までは早い段階でボールを味方に付けていた。それが、仲間の良さを引き出していた。だけど、一番言いたいのは、昨日みたいに研究されて、(前線の3人)サム(ラーション)、アルバ(ゼネリ)、スタイン(スハールス)が抑えられた時に、今度は俺が自分の「個」で相手を剥がしていかないといけないということ。2枚、3枚剥がすとまでは言わない。

 まずは1枚剥がして相手を釣って、チームメートをフリーにする。昨日はペナルティーエリアのすぐ近くのところでプレーすることが出来ていた。このエリアでのプレーが、俺は一番大好き。俺はボランチだから、3トップと攻撃的MFがペナルティーエリアに要るのに入っちゃったら、それもダメ。俺がセカンドボールを拾える位置にいて、スラインに後ろに残ってもらう。そういう感じにしないと点につながっていかない。

 ボールを受けてたたいた後は、俺は絶対にパス&ゴーをやっているから、そこにうまくボールが入ってきたらまた、俺の「個」も生きると思う。だけど、彼らはもっと上を目指している選手たちだから、ボールを持つと「俺が」「俺が」になっちゃうのは仕方がないと思うから、それについて文句は言わないけれど、少しずつ要求している。それを、もう少し強めに要求してもいいのかな。

 ◆勝つために何をどうしたらいいかと言ったら「俺の個」の力◆

 昨日負けたことで、「負ける時はこういう風に負けるんだな」というのがわかった。負けないために、勝つために、何をどうしたらいいかと言ったら、ヘーレンフェインのストロングが消された時の「俺の個」の力だから。いつもだったらワンタッチで前にパスを付けている所を、わざと自分で運んでから味方に付けた。そういう工夫をして、自分なりに昨日は出来た。

 昨日も言った通り俺的には満足じゃないけれど、かなりの手応えを攻撃面でつかんだ。大量失点したのはチームとして久しぶりだし、俺にとっては初めて。それは別として、攻撃の面では俺はかなりよかったと自分では思ってます。

 ◆「(海外では)これが届いちゃうんだ」と思った◆

 あとは「個」。シュートまで持っていく、スルーパスを通す。昨日はスルーパスを3回狙ったけれど、通らなかった。だけど、相手もギリギリのところでスライディングしてきて、「あ、これに届いちゃうんだ」て思った。前半、モルテン(トルスビー)に出した斜めのスルーパスがそう。あれ、相手が滑ってきてギリギリで弾かれちゃったから、次はもっと速いパスなのか、浮き球で通すのか、外から曲げるのか、それともスルーパスという選択をあの場面ではやめちゃうのか。

 ◆勝ちから学ぶこともあるが、負けから学ぶことの方が多い◆

 昨日の試合は自分の課題、チームの課題がいろいろ見えてきた試合だった。負けないためのサッカーをどうすればいいのか、そういういい経験になった。それを次に生かさないとあの試合の意味が無くなっちゃう。もちろん、勝ちから学ぶこともあるけれど、負けから学ぶことの方が多いと思うので、「スパルタに負けて一回反省して、頭を冷やして良かったね」とシーズンが終わった後に言えるようにしたいと思います。

 ◆昨日の(スパルタ戦)監督の采配が好きだった◆

 昨日の監督の采配、俺は好きだった。(終盤の)3バックなんて、俺はやったことがなかったけれど、点を取りにいかないといけないということが明白だった。「行け」と。メッセージがすごく伝わった。「祐希とスタインは危ない所を消せ。ユネスは真ん中でボールを受けろ」って。しかも、それがハマってレザが点を取りそうだった。ユネスのパスはタイミング最高だった。俺も1個前(トップ下)でやりたいというのがあるんだけど。

 最後はは日本代表について。メンバーに入らなかった10月11日、W杯アジア最終予選オーストラリア戦(1-1で引き分け)を振り返り、日本代表での自身のあり方について語った。

 ◆ボールを失わないのが、俺は1番(大事)だと思う◆

 見てる側はなんとでも言える。アウェーゲームで相手は絶対に勝たなければいけないと来ていて、日本も絶対に守らないといけないとなっていて、気持ち的に普段より3メートルから5メートル下がるかもしれない。相手は気持ち的に3メートルから5メートル、前に来る。それがサッカーだからしょうがない。その時に、どう回避するのか。

 「みんな守り続けて辛抱だ」じゃなくて、クリアーの「質」一個にしても、しっかり相手陣内の深い位置に蹴ってプレーを切る。キーパーも、DFも触れないところに蹴って、そこからスローインでプレーを再開させる。ファウルをもらうこと、ファウルされて痛がるとか、そういう時間稼ぎの所もそう。マイボールの時間を増やすこともそう。ほんのちょっとでも、それがあることで休めるし、話せるし、落ち着くし。ボールを奪った後に前に。それは確か。けれど、ボールを失わないのが俺は一番だと思う。

 極端な話、ずっとボールを持っていれば負けないわけで。理想は高いけれど、それを体現するのは難しい。自分の居場所を作るためにも、やっぱりヘーレンフェインでやっていることを、まずは実践する。そして代表チームでもどう生かすかというのを考えてやっていきたい。