「東京オリンピック(五輪)」なんだから、東京の選手が1人は欲しい。成長著しい「つよぽん」ことDF渡辺剛(23)が最有力候補だ。昨年10月に初めてU-22(22歳以下)日本代表に呼ばれると、12月にE-1選手権(韓国)でA代表デビュー。大卒1年目で一気に花開いた。今季は副主将に就任。チームの信頼も厚い。

空中戦が真骨頂。186センチと上背に、抜群の跳躍力が合わさる。相手選手より早く跳び上がり、後から降りてくる滞空時間の長さは特筆もの。昨季Jデビューを果たした4月28日の松本戦では190センチの相手FWの頭1つ上でヘディングをかました。「サッカー選手として生きていくすべ」と話す武器は、国際舞台でも十分に存在感を放てる。

五輪イヤー最初の代表活動だった先月のU-23アジア選手権(タイ)では、主将マークを巻いてプレー。FC東京の下部組織からユースに昇格できなかった“雑草組”で、大学時代までまさに「夢」でしかなかった東京五輪。それが今、手の届くところまできた。「誰もこうなることを想像していなかったと思う」。著しい成長を遂げた19年。次は五輪メンバーに名を刻み、金メダル獲得へ。限りない可能性が広がる20年、まずは東京にその力を還元する。【岡崎悠利】

◆渡辺剛(わたなべ・つよし)1997年(平9)2月5日生まれ、埼玉県出身。東京U-15深川からユース昇格を逃し、山梨学院大付-中大を経て19年に加入。3月6日のルヴァン杯柏戦で公式戦デビュー、初得点。4月28日の松本戦でJ1デビューし20試合2得点。10月に世代別を含めた初代表となるU-22日本代表のブラジル遠征に招集され、12月にA代表としてE-1選手権出場。186センチ、78キロ。血液型A。