レアル・マドリードのカデーテA(16歳以下)に所属するMF中井卓大(たくひろ=15)が、大会2連覇を逃して泣いた。

16歳以下の8チームで争われた最終日の決勝でフル出場も、1-1で突入したPK戦の末に準優勝。キッカーを務めることはなかったものの、味方2人が外して2-4で負けることになった瞬間、顔を覆って後方に倒れ、あおむけになって悔し涙を流した。

表彰式では銀メダルに納得できなかったが、記念撮影では日本の同世代と笑顔で収まった。その後、合同取材に応じ「日本での大会だったので勝ちたかった。PK戦の時は『決めろ』『止めろ』と思って見ていました。一番、でっかいトロフィーが欲しかった」と2連覇への思いと悔しさを隠さなかった。

午後4時からの決勝は、その6時間前に行われた準決勝ジェフユナイテッド市原・千葉戦(3-0)に続いて先発。前半は4-3-3システムの右のインサイドハーフ、後半途中からダブルボランチの一角としてプレーした。開始早々に失点したが、後半5分にMFチャモンが右足で同点ミドル。そのまま30分ハーフが終わり、延長戦でも決着がつかずPK戦に入った。

中井はチームのバランスを整えることに終始。決してボールを失うことはなかった一方、攻め上げるチャンスは少なく得点に絡めなかった。最後は足がつったそぶりを見せるなど走り抜いたが、実らなかった。PK戦ではキッカーを務めなかったが、もう蹴ることができなかったのかもしれない。

それほどの完全燃焼で、今大会は3日間で全5試合に出場した。パス出し、組み立てが主な役割ということもあってか無得点だったが「僕も(チームメートの)みんなも学ぶことができた」。日本のチームの印象を聞かれると「体力があって、よく走るなと。マドリードに帰って体力をつけて負けないようにしたい」と向上心に火がついた様子だった。

スペインでは「ピピ(泣き虫)」の愛称で知られる中井。初代王者になった昨年に続く優勝に導けず涙を流したが、母国で味わった苦い経験を糧にするしかない。15歳にして身長は180センチに達しており、近い将来、日本を根本から支える大型ボランチになってもらわないと困る。最後に、今後の目標を問われると「クラブでは上(トップチーム)に行けるように、代表はAを目指して成長していきたい」。日本人初となるRマドリードのトップ昇格とW杯への思いを再確認できた3日間。至宝が、新たなモチベーションを携えてスペインへ戻る。【木下淳】