【広州(中国)23日=木下淳】史上初3度目のアジア制覇へ、浦和が2大会ぶりの決勝進出を決めた。

敵地で広州恒大(中国)を1-0で退け、2戦合計3-0で準決勝突破。ホームでの第1戦(2日)を2-0で先勝したアドバンテージを生かし、0-0で試合を進めて後半5分にFW興梠慎三(33)の決勝ヘッドで突き放した。2年前と同カードとなるアルヒラル(サウジアラビア)との決勝は11月9、24日に行われる。

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国内での残留争いがうそのように、アジアで強い。浦和が盤石の内容で決勝に駒を進めた。耐えて、前に出てくる広州恒大を焦らせた後半5分、DF橋岡の右クロスに、お決まりの男が頭を合わせた。興梠、今大会8点目、日本人最多のACL通算26点目。「0-0が続くほど好機が来る」と読んでいた通り、前半9本のシュートをしのいで後半の開始直後に一刺しした。

ホームでの第1戦は2-0。これで4失点しなければいい。勝負は決したが、気は抜かない。2戦連続完封。負傷明けのDF鈴木大が元ブラジル代表のパウリーニョとタリスカの前に体を投げ出せば、GK西川が右へ左へ横っ跳び連発。集中が切れない守備に、約4万人の敵地から後半30分過ぎにファンが帰り始めた。

ついに鬼門を破った。日本勢が7度すべて、決勝トーナメントで敗れてきた広州恒大を初撃破。試合MVPの興梠は、広州恒大が準々決勝で鹿島を下した際に「優勝」の言葉をカンナバロ監督が発したことを報道で知り「火がついた」。クラブハウスで「絶対に勝とうと話し合った。あの発言が相手の敗因」と口角を上げた。天敵に日本勢が2戦とも勝つのは1次リーグを含めても初、浦和としても中国大陸9戦目にして初白星(過去5分け3敗)をつかみ、ACLのホームで21戦無敗だった広州天河で土をつけた。歴史を変えた。

「何をすべきか分かっている」。興梠が言う頂点までの経験が大きい。広州恒大が15年にアジア制覇した時の先発で残るのは4人。浦和は17年の同9人が今大会も主力で、第1戦の2点ビハインドを2度はね返して頂点に立った。先勝の怖さを知るだけに緩まない。経験も橋岡ら若手に伝わった。変哲もないプレーで沸く会場の雰囲気、日本の公園のような緩さという芝でのクロスの上げ方。「昨日も何度も練習したクロス」(興梠)が試合を決めた。

その前日には今大会初めて、裏方まで全スタッフで円陣を組んで一丸を確認した。横綱相撲で2大会ぶりの決勝へ。相手は前回と同じアルヒラル。史上初3度目の優勝に王手をかけた。