16年以来のJ1復帰を目指すアビスパ福岡が、5年ぶりに復活した“福岡ダービー”を制した。

開幕戦でギラヴァンツ北九州に1-0で勝利。今季、川崎フロンターレから期限付き移籍のFW遠野大弥(20)が攻守に貢献。先発デビューし前半44分、ハーフボレーでプロ初ゴール。快足を生かした前線からのアグレッシブな守備でも勝利に導いた。昨季16位からの巻き返しへ、好スタートを切った。

   ◇   ◇   ◇

20歳の新戦力FW遠野が、プロ初ゴールで“福岡ダービー”の勝利に貢献だ。

前線のターゲットとなる188センチのスペイン人FWフアンマと2トップを組んで迎えた前半44分。「絶対こぼれ球が来ると思っていた」。ゴール前の混戦で、瞬時にボレーでたたき込んだ。静岡・藤枝明誠高時代から磨いてきた技。これが値千金の決勝点となり「ハーフボレーは得意な形。自分の形で決められて良かった」と喜んだ。

ゴール直後、右手を突き上げ、敵陣から味方ベンチまで全力で走った。1万3574人が入った熱気ムンムンのダービーを振り返り「雰囲気が最高。(J2は)始まったばかりだがここからもっと勝ってJ1に昇格したい」。ホーム開幕となる次節の3月1日ジュビロ磐田戦(べススタ)へ「(磐田の本拠地)静岡出身なので意識はしています」と闘志を燃やした。

高校卒業後、大学進学の選択肢もあった中、JFLのホンダFCに入った。社員として午前8時から正午まで、工場で車のエンジンの部品を組み立てる仕事をこなし、午後から練習する日々だった。

そんな中、昨年の天皇杯で5試合4得点と結果を残した。北海道コンサドーレ札幌戦で2得点するなど徳島ヴォルティス、浦和レッズのJクラブ3戦連続撃破に貢献。8強入りに導いた。活躍が認められ川崎Fに完全移籍も、今季は福岡に期限付き移籍した。J2開幕前、遠野は「プロでまだ試合に出ていないが、自信がないわけじゃない。ここで成長したい」と高みを目指していた。

長谷部監督からは「(相棒の)ファンマが起点になるから、周りで動いていけ」と指示を受け、開幕戦に臨んだ。周囲との連係をさらに高め、遠野は「2桁ゴールが目標」ときっぱり。将来性豊かな新戦力が、J1への道を切り開く。【菊川光一】

◆遠野大弥(とおの・だいや)1999年(平11)3月14日、静岡・藤枝市生まれ。西益津スポーツ少年団でサッカーを始める。藤枝明誠高3年で全国高校選手権出場。17年から3年間JFLホンダFC所属し、昨季はチーム得点王(9点)でベストイレブン。JFL通算62試合出場18得点。165センチ、66キロ。