新型コロナウイルスの影響による約4カ月の中断期間を経て、J1リーグ戦が4日、再開される。ガンバ大阪は本拠パナスタにセレッソ大阪を迎え入れ、無観客での大阪ダービーとなる。

元日本代表MF遠藤保仁(40)は先発が確実視され、J1通算632試合出場で歴代単独1位に躍り出る。チーム一丸で歴史的一戦を制し、大記録に花を添える。

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決戦前日の3日、G大阪は完全非公開の中で最終調整を終えた。6月30日の取材で「ダービーはどの試合も勝たないといけない。いい雰囲気で戦いたい」と語っていた遠藤は、J1最多出場記録を樹立するピッチへは先発で立つ。

3月末からのチーム活動休止期間は、あえて「調整し過ぎずにいた」という。自宅で洗濯係を担う姿がテレビスポットでも流された。力まず、冷静に、淡々と。40年間培ってきた生活リズムは、緊急事態宣言下でも変わらなかった。

鹿児島実2年時の高校総体予選でのこと。試合当日の朝、父武義さん(72)が「今日はプロのスカウトが、お前の試合を見に来るらしいぞ。目をつけてもらうためにも、絶対に頑張れよ」とゲキを飛ばしたが、遠藤は「うん」と答えただけだったという。

「息子の気分を高めようと、かけた言葉だったんですよ。でも、ヤットは普通にプレーして、普通に勝って、普通に全国大会へと勝ち上がっていきました」と武義さん。遠藤自身も常々「味方や敵との競争に勝ち、自分の力を信じること。試合に出て、サッカーを楽しみたい」と語っている。

この日、取材対応したFW宇佐美貴史は「ダービーは勝てれば何でもいい」と話し、遠藤については「今が一番すごみを感じている。ほしいところに必ずパスを出してくれる。むだがまったくない」と“神の領域”だと強調した。無観客開催であろうと、大記録が懸かっていようと、遠藤は自身のプレースタイルで勝利を演出する。【横田和幸】