4年後のW杯に出るために町田を選択した-。今夏のW杯北中米大会に出場した日本代表FW小川航基(29)が27日、オランダ1部NECナイメヘンから新加入した町田で入団会見に臨んだ。欧州残留の希望を翻意し、3年ぶりのJリーグ復帰。年俸は4億円(推定)という超大型契約だ。W杯に出るには欧州所属が定石とされる中、その真意を語った。背番号は9。選手登録も完了し、次節29日の水戸戦で新天地デビューとなりそうだ。

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世界的な建築家、隈研吾氏が手掛けた町田のクラブハウスに多くのメディアが駆けつけた。現役の日本代表、しかもW杯で活躍したストライカーが欧州からJリーグに復帰した。

なぜ町田へ移籍? 次のW杯を目指す上で日本復帰はマイナスなのでは? そんな声も聞こえてくる中、小川は持論を語った。

「僕もそう言った意見は目にするが、まったくの逆。W杯に出るため、活躍するために帰ってきました。みなさんが思っている以上に自分のことは一番分かっている。どういう状況にいたら輝けるのか。自分が持つ選択肢でW杯に一番近いところを選んだ」

あまりに堂々とした物言いには、すがすがしさがあった。町田がW杯に一番近い理由。それは自らの得点力を最大化させられるという考えからだ。

W杯後も欧州5大リーグでのプレーを希望していた。昨季オランダリーグでは26試合で8得点。例えば欧州主要リーグの中位以下のクラブとなれば、カウンターサッカーが中心となってくる。その環境が小川の特長にマッチするのか、だ。

「5大リーグの下位クラブに行けたとしても、そこで僕が15点、20点と取れるタイプのストライカーかと言われるとそう感じない。やっぱり求められるところ、自分が生きるポジションでサッカーをした方が点が取れる。結局、点を取らないと代表にも呼ばれない」

小川の気持ちを変えた裏には、町田側の熱意があった。原靖フットボールダイレクターは4月以降、3度もオランダへ渡り、小川と会う機会を設けた。手間暇かけて作成した今夏のW杯に出場した32歳以上の選手リストを持参。MLSのメッシもサウジアラビアのロナウドもそう。リーグのレベルでなく、多くのパスを受けてシュートを決めるという実績が重要だった。

「僕が一番輝いて点が取れてW杯に近いところを考えた時に町田だと最終的に判断した」

アジアチャンピオンズリーグ・エリート(ACLE)準優勝を経て、クラブはスタイルにも変化を取り入れようとしている。ロングボール一辺倒でなく、足もとでつなぎ1・5列目のシャドーが素早く仕掛け、ストライカーが仕留める。得点力を求める上で小川は最後のピースだった。

今夏のW杯を「人生最大の瞬間。もう一度出たいと強く思いました」。町田で新たなキャリアを積み重ねた先に4年後のW杯が待っている。【佐藤隆志】

○…黒田監督は小川の次節29日のアウェー、水戸戦での起用を前向きに捉えた。練習後の取材に「本人はそのつもりでコンディションを上げるようにしていると思うし、あとはチームとしてどういうふうにフィットさせていくか」などとコメントした。なお桐光学園出身の小川は、高校3年時の最後の全国選手権で黒田監督が率いる青森山田の前に自らのPK失敗で敗北している。その黒田監督について「プレーの細部にこだわりがあり、勝てる監督」と話した。

◆小川航基(おがわ・こうき)1997年(平9)8月8日生まれ、横浜市出身。桐光学園から16年磐田入り。水戸、磐田、横浜FCを経て23年夏にオランダ1部NEC移籍。A代表デビューだった19年E-1選手権・香港戦でハットトリック。国際Aマッチ18試合11得点。186センチ、78キロ。