日本対コロンビア 後半、ヘディングで勝ち越しゴールを決めた大迫勇也(左から3人目)を祝福する歓喜の日本ベンチ(2018年6月19日撮影)
日本対コロンビア 後半、ヘディングで勝ち越しゴールを決めた大迫勇也(左から3人目)を祝福する歓喜の日本ベンチ(2018年6月19日撮影)

 決勝に残ったクロアチアはFIFAランク20位。93年の同ランク制定以来、最も低ランクの決勝進出チームになる。対するフランスは7位。6位以上の上位チームはすべて敗退した。今大会は70位で最下位のロシアがベスト8、1位ドイツが1次リーグで敗退するなど「下克上」が多かった。

 「FIFAランクって、正しいの?」と、よく質問される。代表チームの実力を客観的に表した数値としてはいいが、試合の結果はその通りにならない。W杯開催国で予選がなかったロシアが最下位になるなど、実力を反映しきれていない部分もある。ただ、ランク通り、予想通りにならないのがサッカー、ある程度の「波乱」は仕方がない。

 過去6大会をみても、直前のランク1位で優勝したチームはない。唯一決勝に進出した98年大会のブラジルも、今大会のクロアチアに次ぐ低ランクだった18位のフランスに敗れた。つまり「FIFAランク1位は優勝できない」となる。

 日本は61位。実は、98年には9位を記録したことがある。当時は算出方法が今と違い、対戦相手や大会レベルに関係なく試合数をこなすほど順位が上がった。あまり「実力通り」とは言えなかった。その後、99年と06年に算出方法を改訂。さらに、今大会後に発表されるランキングから算出方法はまた変わる。

 チーム競技の実力を数値化するのは難しい。どんな方法でも、必ず「穴」は出てくる。それを修正し、より実情に近づけようというのがFIFAの改訂。実力に算出方法を合わせてきた歴史がある。スタートから25年、かなり実力に近くなってきたのが印象だ。

 ちなみに、FIFAランク制定後、他のチーム球技の国際競技連盟(IF)も次々と世界ランクを取り入れた。五輪実施競技で日本代表の最上位は、野球とソフトボールの2位。女子サッカーと女子バレーボールが6位で続く。男子ハンドボール(23位)と同バスケットボール(48位)以外は20位以内。男子サッカーが最も低い。

 サッカーほど合理的な計算方法の競技はなく、更新も年1回だけという場合もある。それ以前に「分母」が違いすぎるから、競技間の比較は意味がない。とはいえ、サッカーは61位でもこれだけ日本中を沸かせたのだ。より世界に近い(ランキング的に)他の競技も今大会の日本代表に続いてほしいと思う。【荻島弘一】(ニッカンスポーツ・コム/記者コラム「OGGIの毎日がW杯」)