頑張れ、川島-。横浜GKコーチの松永成立氏(55)が、GK川島にエールを送った。セネガル戦のミスの原因が精神面にあるとし、自信を取り戻す重要性を強調。ドーハの悲劇でワールドカップ(W杯)出場を逃した元日本代表GKが、W杯3大会連続出場の川島でのポーランド戦勝利を願った。

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 確かに、川島のミスだった。簡単なボールをはじき出そうとして失点。「いったん出して(ゲームを)切りたい」という思いが強すぎて、パンチングを選択したのだろう。キャッチングをすれば問題なかったが、ファンブルの危険もある。まだ序盤で安全策を選びたくなるのも理解できる。

 「失点したくない」というネガティブな気持ちが表れた。初戦のコロンビア戦ではFKを決められた。壁の下から来るボールはGKの責任ではないし、守備位置もチームの決まり事だから大きな問題はない。実際、同じようなポジションをとる欧州のGKも多い。それでも、批判を浴びた。失点への恐れが強くなった。

 コロンビア戦だけではない。準備試合の段階から決して調子はよくなかった。「いつもと違う」という精神的な焦りがプレーを消極的にしている。ここは、とにかく開き直ることだ。

 「GK交代」という声も出てくるだろう。練習でのパフォーマンスは、東口や中村の方がいいかもしれない。しかし、ともに実戦から遠ざかっている。大会のグレードも違う。経験値のないGKがいきなりW杯という舞台に立てば、平常心でプレーできない。最悪のシナリオもある。やはり、ここは川島しかいない。

 幸い、パンチングミスをした後の川島は開き直って無難なプレーをみせた。安定している部分もあった。本人が「あれはミス」と口に出せたのも、気持ちの整理ができた証拠。今は、自信を取り戻してほしい。

 批判が大きいのは、舞台が大きいから。その舞台を3大会連続で踏んだGKは川島しかいない。大変なことだし、本当にうらやましい。「オレしかいない」ことを自覚し、ゴール前に立ちはだかってほしい。1つのミスで大きな批判を浴びたが、それも含めて日本代表GK。批判の数だけ期待されているということだ。

 ◆松永成立(まつなが・しげたつ)1962年(昭37)8月12日、静岡・浜松市生まれ。85年に日本リーグの日産自動車(現横浜)へ加入し、正GKに。87年に日本代表に初招集、94年W杯米国大会アジア最終予選でドーハの悲劇も経験。00年引退、07年に横浜GKコーチ。