ドルトムントMF香川真司(29)が約3カ月ぶりに実戦のピッチに立った。最終節のホッフェンハイム戦の後半30分から途中出場。2月10日のハンブルガーSV戦で左足首を負傷して以来だった。ワールドカップ(W杯)ロシア大会の代表選考が迫る中、左足がプレーに耐えられることを示した。1-3で敗れたチームは4位で来季欧州CL出場権を獲得したが、シュテーガー監督は退任を表明した。W杯開幕まで今日14日で1カ月となる。

 日本の背番号10を背負ってきた男が、戦いの舞台に帰ってきた。トップ下で約15分間のプレー。大きな見せ場はなかった。だが、試合後は「取りあえず良かった。率直に」と喜びと、手応えが口を突いた。

 4月29日にベンチ復帰したが、直後に痛みが出て今月2日に「念のため」検査を受けた。ちょうどその日に日本代表の西野監督がドルトムントを訪問。「せっかく来てくれたから(プレーを)見せたかった」と言いつつも、「大事なのは21日から(代表合宿に)合流すること。そこにいいコンディションで入れれば」とW杯本番を見据える。「まだ1カ月ある。日本に帰ってトレーニングして、テストマッチ(親善試合)もあるから問題ない」。調整への自信をうかがわせた。

 今回の故障は予想より長引いた。それも含め、1勝もできず敗退した14年W杯からここまでを「タフな4年間だった」と振り返る。「本当に1日も無駄なことはなかった。それを証明するのは、結局はW杯。僕らはそこで評価されるから」と、2大会連続の大舞台へ執念がのぞいた。

 香川が昨年10月のハイチ戦を最後に遠ざかった日本代表は、その後の親善試合で結果が出ずに課題山積の上、監督交代もあった。「厳しい戦いになるが、個人的には準備と覚悟は常々できていると確信しています」と言葉に力がこもる。難しい状況だからこそ「経験とか、そういうものは必ず必要になる」。10年夏にドルトムントに渡り、マンチェスターUを挟んで欧州の強豪で戦ってきた自負がにじんだ。【鈴木智貴通信員】